日本大学の混乱が収まらない。アメフト部を廃部すると決めたと報道があったが、その決定を継続審議としたそうだ。一部の部員が起こした大麻問題のために、残りの人たちが犠牲になるのは望ましくはないと考えていたが、裁判で「副学長がもみ消してくれるかと思った」と証言したことを聞いて、根底から腐っていると感じた。
20歳を超えた若者が、やっていいこと、悪いことの判別がつかないだけでなく、悪いことをしても大学がもみ消してくると考えるような教育をしているような大学に、大学と呼ぶ価値はない。報道されるアメフト部監督の言動が真実ならば、この人も同罪だ。アメフト選手として優秀であれば、社会的規範を守る意識が欠けていても、それを許す人は教育者ではない。
楽天イーグルスの選手のパワハラも、人間としての教育をちゃんと受けていたのかと疑問を抱かざるを得ない。たとえ何かに秀でていても、まずは、人間性を鍛えることが教育の場では優先されるはずだ。警官が詐欺事件の受け子をやっていた事件も報道されていた。このような異常を日常的に耳にすることに慣れてきてはいるが、この事態は国として危機的な状況なのだ。
最近、片田珠美さん著の「自己正当化という病」を読んだが、私の周りにも「自己正当化病」かと思えるような人が少なくない。プーチン大統領やヒットラーが例示されているが、なるほどと納得だ。常識が通じない人が一定の割合でいると書かれていると、納得はできるものの、組織の長としては暗然とした気持ちにならざるを得ない。
もちろん、私も部下からは自己正当化病と思われているかもしれないので要注意だ。
編集部より:この記事は、医学者、中村祐輔氏のブログ「中村祐輔のこれでいいのか日本の医療」2023年12月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。