ミシュランガイドは参考になるが、当てにはならない

レストランガイドとして世界で最も知られているミシュラン。その東京版ミシュラン2024が発表され、三ツ星レストラン12店舗が選出されました。

三ツ星のお店の数は変わっていませんが、銀座の1店舗が2つ星に降格され、新たに別の鮨店が三ツ星レストランに輝きました。

今回変わったのは、新たに「セレクテッドレストラン」というカテゴリーが追加されたことです。

これによって2024年度は過去最多の504軒のレストランが掲載され、そのうち168軒が新規掲載、142軒がセレクテッドレストランになりました。

よくわからないのは、ビブグルマンとセレクテッドレストランの違いです。

セレクテッドレストランは「ビブグルマンには入らないが、ミシュランがおすすめするレストラン」という定義です。ビブグルマンというコストパフォーマンスに優れたレストランには入らないが、おすすめできるという微妙なポジションです。

敢えてここまで細かくランク付けする必要はあるのでしょうか?評価基準が理解しにくく、ガイドブックとしての価値を下げることになると思いました。

そもそもこの手のガイドブックの情報は参考にはなっても、当てにはならないと思っています。

昨年、ミシュラン三ツ星レストラン12軒に全て出かけてみました。それでわかったのは、三ツ星だからといって、必ずしも素晴らしい飲食店とは思えないと言う当たり前のことでした。

素晴らしいレストランもたくさんありましたが、もう二度と行く必要がないと思う店も複数存在しました。

個人の好みの違いと言えばそれまでですが、少なくとも私にとってミシュランの評価はそれほど当てにならないことがわかりました。

私が好きなのは、おいしいことも大切ですが、何より食事が終わって気持ちよく帰ることができるお店です。

食事とは一緒にいて、楽しい人たちと楽しく時間を過ごすための大切な引き立て役です。お酒やお料理の味も大切ですが、何より楽しくなければ意味がありません。

媚びる客に店主が威張っている、あるいは常連としか口をきかない店だったり、客の前でスタッフを叱責するような店は、どんなに美味しくても私は楽しいとは思えず、行きたいと思いません。

お店探しには、グルメガイドブックを参考にするより、自分と好みが似ている人が勧めているお店に出かける。その方が、素敵なお店に出会える確率が高くなります。今週も横浜の野毛まで出かけて、紹介されたお気に入りの台湾料理を食べてきました(写真)。

料理人にとっては、ミシュラン掲載は夢なのかもしれません。しかし、たとえ掲載されていなくても、たくさんの人に愛されている魅力的なお店は各地に溢れています。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年12月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。