「パーティ問題」をきっかけに選挙のあり方を見直すべきだ

田原総一朗です。

政治家が政治資金を集めるため、パーティを開くことは合法であるし、長年行われてきたことだ。ところが、今、その政治資金パーティが、大問題となっている。

自民党安倍派は、所属議員にパーティー券販売のノルマを課し、ノルマを超えた売上分を議員にキックバックし、収支報告書に記載していなかったのだ。

先月、僕が喫茶店の「マスター」になり若者たちと話をする「田原カフェ」に、立憲民主党の小川敦也議員が来てくださった。小川さんは香川県出身、総務省官僚を経て議員となった、非二世議員だ。「地盤、看板、カバン」なしで、苦労しているからこそ、見えるものがある。

小川さんは、一貫して国民との対話集会を続けている。それは、「国民の声を聴きに行くべき。国会議員の職にありながら、対話集会を開かないのは信じられない。自分の感性と感覚がずれてしまう」という信念からだ。

参加者と、小川さん、みんなで日本の将来、政治の在り方についてとことん話をした。小川さんは、スウェーデンの政治を例に出した。スウェーデンの18~29歳の投票率は、約80%にものぼるという。

「強制されていないのに、です。そして自分たちの国の政治家は、絶対に汚職などしないと言い切る。彼らに高い保険料と税金を預け、それが自分たちのためにきちんと使われているから、不満ではない」と語る。

国の規模も違うし、スウェーデンの政治すべてに問題がないわけではないが、この国民と政治家の信頼関係は、日本にないものだろう。それが高い投票率に現れている。

翻って日本を見れば、投票率は80%に遠く及ばず、そして政治資金パーティ問題である。今回のキックバックは「裏金」に当たり、もちろん許されるものではない。ただ、彼らも、遊興費や、私服を肥やすために、お金を集めているのではない。

日本の政治にはお金がかかる、という根本的な問題があるのだ。政党助成金はあるが足りない。では、どうしたらよいのか。アメリカのように、日本でも、応援する政治家に、寄付をする文化を育めないものか。

日本の国会議員たちは、地元に事務所を置き、冠婚葬祭などの挨拶も欠かせない。こうした「地元対策」が、お金がかかる要因であるし、負担にもなっている。あくまでも「国」の議員なのだが、選挙には「地盤」が大事なのだ。

地元選出ではあるが、あくまでも「国全体」のために働くのが、国会議員なのである。地元の行事に顔を出すことが、一番大事なのではない。こうした慣例を変えるには、国民の意識改革が必要だろう。

選挙については、他に1票の格差、世代の人口差、選挙区など、さまざまな問題がある。小川さんは、「現行の小選挙区を改めて、比例代表制への移行を、選択肢の一つとして、考えてよいと思う」と言う。政治と選挙のあり方について、徹底的に話し合うべき時期が来ている。今回のパーティ問題を、そのきっかけにすべきではないか。


編集部より:この記事は「田原総一朗 公式ブログ」2023年12月14日の記事を転載させていただきました。転載を快諾いただいた田原氏、田原事務所に心より感謝いたします。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、「田原総一朗 公式ブログ」をご覧ください。