オルセー美術館の”オヴェール=シュル=オワーズのファン=ゴッホ 最後の月々”。
張り切って朝一番乗り。一晩で夏から冬に変わったようなパリの朝。開館までの10分間、さっむ〜。中に入ると、東から駅舎に入り込む朝日がきれい〜。
アルル、サン=レミでの辛い、でも作品的には非常に充実した年月を経て、数日間のパリ滞在後に移った、オヴェール=シュル=オワーズ。なくなるまでの2ヶ月を、ファン=ゴッホはここで過ごし、74点の油彩と33点の素描を残した。なんという気力と創造への渇望・・。精神状態がもたらしたのかもしれないけれど、個人的には画家の生命力を信じていたい。ので、自殺否定派。
上の作品の横に置かれたパネル。このポートレートは2点あって、こちらのより優れている(と思う)方は、かつて日本にあったよね。今や個人蔵。スイスの倉庫あたりに眠っているのでしょう。日本にある頃、公開されたことあったのかしら?見たかったな。こちらの出来がとてもよいだけに、オルセー所蔵(ガシェ寄贈)ヴァージョンが、贋作に見えないこともない。
ファン=ゴッホの魅力は、発色が素晴らしい絵の具の、色の組み合わせと肉感的な盛り上がりだと感じてる。
その意味で、今日の”もしも一枚もらえるなら”は、デトロイト美術館所蔵の”オヴェール=シュル=オワーズの川辺”。生々しい生命力に惚れ惚れ。
なくなるまでの数週間で、ファン=ゴッホは、50cmx100cmサイズの作品群をたくさん残してる。この展覧会では、11作をフリーズ的に一部屋に並べて展示してあり、とても興味深い。
ウィーンのベルヴェデールでいつも見ている”オヴェールの平野”、最後の作品”木の根”や”黒い鳥のいる麦畑”(両方ともファン・ゴッホ美術館)などと並んで、ずっと見かった”ドーヴィニーの庭”(バーゼルのルドルフ・シュテへリンコレクション)がある〜。
複数ある同タイトルの(もう一枚は日本にある)、これは黒猫ちゃんがいるヴァージョン。それなりに気合入った作品なのに、猫ちゃんだけ気の抜けた描かれ方してるのがなんとも楽しい。
時代ごとで切るなら、私は、圧倒的にアルル時代派。ファン=ゴッホで一番好きな”ローヌ川の星月夜”と、”サント=メリーの海”が誕生した時期。ローヌ川〜はオルセーでいつでも愛でられるけれど、プーシキンにあるサント=メリーは、多分もう一生再会できないだろうな。
ブティック覗くと、ひまわり、星、アーモンドの花モチーフのミッフィーちゃん。アムステルダムで問題になった、ポケモンコラボカード、オルセーにもあればいいのに(笑)。
編集部より:この記事は加納雪乃さんのブログ「パリのおいしい日々5」2023年10月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「パリのおいしい日々5」をご覧ください。