人気の飲食店に「食べログ」が敬遠される理由

今週出かけた目黒にある4文字熟語のお寿司屋さんは、ハイレベルなお寿司にマニアックなワインを合わせる私好みのお店です。カウンター席に座ると、お店のルールが置かれていました。

そこには新規の予約は受け付けないという記載とともに、食べログなどのグルメサイトへの投稿は「固く禁止」となっていました。

ただし、写真撮影は他のお客さんが落ち込まなければ可能。ブログやインスタグラムなどのSNSへの投稿は大歓迎と、グルメサイトへの厳しい制約とは真逆の扱いです。

Atstock Productions/iStock

なぜ食べログのようなグルメサイトへの掲載は敬遠されるのでしょうか。

有名なグルメブロガーは、食べログにも実名投稿したり、自分のサイトやインスタグラムアカウントにリンクを貼ることもあります。身元を明かし、リスクを取って投稿しています。

ところが、多くのグルメサイトの投稿は匿名で、ハンドルネームからは誰が書いているのかわかりません。

まともなレビューもたくさんありますが、中には的外れのトンデモレビューがあったりするのです。

例えば、ランチで1度しか行ったことがないのに、重箱の隅をつつくようなネガティブな投稿で、鬼の首を取ったようにお店の足を引っ張るような人たちです。

主観を押し付けられるのも困りますが、それ以上に真実と異なる誤解や虚偽の記載をされていても、投稿者が特定できず削除要求することもできません。

人気のあるお店は、そもそもグルメサイトに掲載されて、そこからの集客に頼る必要ありません。紹介やリピートだけで充分予約を埋めることができるからです。

その方がマナーも良く、ドタキャンしたりしない良質な常連客だけを相手にすることができ、経営も安定します。

この手のお店にとって、食べログで的外れなレビューを書いている人は、むしろ来店して欲しく無い人たちです。

だからグルメサイトへのレビュー投稿を禁止したくなるのは自然なことです。

そんな人気店とは対照的に、集客に苦戦しているお店やチェーン店などは、食べログのようなグルメサイトの集客に頼らざるを得ません。

逆に言えば、食べログで人気のお店とは、固定のファンがおらず、大量の集客を外部に依存しているお店だということです。

それぞれの飲食店に経営のやり方があり、食べログ依存の大量集客が悪いとは言いません。

ただ、グルメサイトの情報には、大きなバイアスがかかっており、鵜呑みにする事は危険だと言うことです。

グルメサイトでは評価が低かったり、そもそも掲載すらされていない名店は、想像以上にたくさん存在するのです。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年12月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。