「金を出さないのに口を出す」年寄りになってはいけない

今日は大学時代のクラスメイトとの同窓会が開催される予定です。同級生は今年次々と60歳の還暦となりました。私もいよいよ来年3月で還暦です。

miya227/iStock

同窓会も悪くはありませんが、それと同時に自分よりも若い世代とのコミュニケーションも意識的に行う必要もあると思っています。

確かに世代が同じであれば話も合うし、気は楽かもしれません。でも、思考回路が似ている人たちと、過去の思い出話に浸っているだけでは、人生は味気なくなってしまうからです。

また、自分が先なのか周囲が先なのかはわかりませんが、同世代の人たちはこれから着実にこの世からいなくなっていきます。同世代とだけ付き合っていたら、「そして誰もいなくなった」ということになりかねません。

若い世代と付き合う時に気を付けたいのは、まず「金を出さないのに口を出す」年配者にはなってはいけないということです。

人生の先輩として年下の人たちに自分の経験を伝えたい気持ちはよくわかります。自分のアドバイスによって少しでも良い人生を実現してもらいたいという純粋な気持ちからなのかもしれません。

しかし、若者の生き方に「口を出す」のはやめた方が良いと思います。

時代は変化します。人生観の異なる世代に昭和に培われた経験談を語ったところで、ほとんどの場合価値はありません。耳を傾けてもらえるのは、孫正義氏のような、ほんの一握りの成功者だけです。

多くの場合は、ただの迷惑なおじさんとしてスルーされてしまうだけに終わります。特に現役時代の自慢話などはご法度です。

それよりも自分が若者から謙虚に学ぶという姿勢が大切です。卑屈になるのではなく、わからないことは年齢に関係なく頭を下げて教えを乞うことです。

そして、年配者は「金を出す」ことも大切です。

飲みに行ったら割り勘や傾斜配分ではなく、年長者がすべてを支払う。それくらいの甲斐性が無ければ、若い世代に相手にしてもらえることは無いと思っておきましょう。

お金が人生の全てとは言いませんが、年齢を重ねると経済力がなければできないことが増えてきます。

私が一番やりたくないのは「お金がないから」という理由で何かを諦めることです。だから、自分が必要なお金は自分で手に入れるために、お金に働いてもらう方法を研究し、懸命に日々実践しているのです。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年12月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

アバター画像
資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。