「反撃能力」保有で日本防衛は盤石

DancingMan/iStock

画期的な「反撃能力」保有

2022年2月のロシアによるウクライナ侵略、北朝鮮の相次ぐミサイル発射など、安全保障環境の急変により、岸田内閣は2022年12月16日新たな国家安全保障戦略などを定めた「安保3文書」を閣議決定し、敵領土内のミサイル発射拠点などを破壊する「反撃能力」の保有を決めた。

「反撃能力」の保有は長年タブー視されてきたが、保有により日本は大きな抑止力を手にした。まさに戦後日本の安全保障上画期的であり、岸田内閣の最大の功績である。

「反撃能力」については、すでに1956年当時の鳩山総理大臣が「座して自滅を待つべしというのは憲法9条の趣旨ではない」と答弁し「反撃能力」を合憲としている。このように、「反撃能力」の保有は自衛の範囲に含まれるから、専守防衛の逸脱ではなく、憲法9条に違反しないことは明白である。

中国は台湾有事や日本有事の際に米軍の介入を阻止するため、防衛省によると、核搭載可能な中距離弾道ミサイル1900発、巡航ミサイル300発を保有し、在日米軍基地やグアムの米軍基地を標的にしている。さらに「空母キラー」と称される対艦弾道ミサイルなども多数保有し、極超音速兵器を搭載できる迎撃困難なミサイル攻撃体制を構築している。ロシアや北朝鮮も核搭載可能な極超音速長射程弾道ミサイル兵器等を開発し配備している。

このような日本周辺国のミサイル攻撃体制から日本を守るためには、従来のイージス艦とパトリオットによるミサイル防衛だけでは迎撃が著しく困難であり、敵のミサイル発射拠点などを破壊する「反撃能力」の保有が不可欠となった。

「反撃能力」の中身

日本の「反撃能力」としては、射程1000キロ超の米国製巡航ミサイル「トマホーク」導入、陸自国産ミサイル「12式地対艦誘導弾」の射程1000キロ延伸、「高速滑空弾」の開発配備などである。敵の射程圏外から攻撃できるスタンド・オフ・ミサイルの性能を具備する兵器が中心である。

さらなる抑止力強化のためには、北京、平壌を完全に射程に収める射程3000キロ超の極超音速長射程弾道ミサイル、長距離戦闘爆撃機、潜水艦発射型長射程弾道ミサイルなどの開発配備が求められよう。もちろん、従来のイージス艦とパトリオットによるミサイル防衛能力の一層の強化や、日米共同開発による新型迎撃ミサイルの配備も抑止力強化に有効である。

「反撃能力」保有で日本防衛は盤石

侵略を抑止する「反撃能力」は侵略を狙う相手国にとっては保有されたくない能力である。なぜなら、ロシアによるウクライナ侵略を見ても、ウクライナが長射程ミサイルなど「反撃能力」に相当する力をほとんど持たないため、ロシアによる侵略を受けたからである。

このため、ウクライナは昨年2月から7400発のミサイル攻撃に晒され(2023年12月22日ニューズウィーク)、国土は荒廃し兵士を含む国民の犠牲は甚大である。もし、ウクライナが十分な「反撃能力」を保有していたならば、ロシアの侵略を抑止できた可能性が高い。このことを日本は重大な教訓としなければならない。

にもかかわらず、ひたすら憲法9条を金科玉条として「平和外交」のみを唱え、日米同盟に反対し、抑止力を強化する「反撃能力」はおろか、防衛力自体の保有にも反対する「非武装中立」の日本共産党などの反戦左翼勢力は、ウクライナの現状を見れば、侵略を誘発し日本を国家存亡の危険に晒しかねない。

核抑止力を含め日米同盟を基軸とする日本が、十分な「反撃能力」を備えることこそが、覇権主義の中国をはじめ、周辺国からの侵略を抑止し、国民の安全を守り、日本防衛を盤石にする唯一の道であることは明白である。