65歳以上の年寄りが「主役」になるこれからの日本

内藤 忍

未来の予想をするのは、簡単ではありませんが、数少ない確実な予想ができるのが人口動態です。

日本は既に人口減少フェーズに入り、出生率が低下しているので、スパイラル的に人口減少が加速することは確実と言えます。

私が日本の将来に対して悲観的なのは、人口減少と少子高齢化がもはや変えられない状態になり、「詰んでしまった」からです。

国立社会保障・人口問題研究所が発表した「日本の地域別将来推計人口」のレポートによれば、2020年に1億2600万人だった日本の総人口は、2050年には約1億470万となります。

その中で進むのが高齢化です。

人口における65歳以上の比率は、日本全体で2020年は28.6%ですが、2050年には37.1%にまで上昇します。

人口の4割が65歳以上になるだけではありません。この世代が消費者としての購買力も最も高くなります。つまり、もっともオイシイマーケットとなる日本の消費社会の「主役」という訳です。

ただし、これからの高齢者は今までとは価値観の異なる人たちが増えていきます。

余生をおくるという消極的な人生ではなく、セカンドライフとして、新しいことにチャレンジしたり、新たな人間関係を構築するのに積極的な人たちです。

今週、一緒に昼呑みした私の同級生たち(写真)は、まだ60歳前後ですが、これから残された100歳までの40年をどうやって充実させるのかを真剣に考えています。

ところが、このような新しいシニア層にフィットする商品やサービスは、まだ充分に提供されているとは言えません。

ここに大きなビジネスチャンスがあると思います。

例えば、私が関わっている資産運用の世界であれば、NISAやイデコだけでは不十分です。

それだけではなく、相続税・資産承継対策、年金の不足分を補うインカム商品、お金を有効に活用できる社会貢献、ラグジュアリー商品を使った資産防衛、インフレ対策などには大きなニーズがありそうです。

年齢を重ねても、好きなことを自由に選択できる人生を実現するために必要なものを提供する。

資産運用だけではなく、様々な分野におけるシニアの人生の諸問題に対して、ソリューションを提供する。そこには莫大なビジネスチャンスが眠っています。

miya227/iStock


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年12月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。