仕事が辛いあなたに贈る。会社と争う前に知っておきたいこと

玄関にしめ縄を飾り、暮らしの大切な場所に鏡餅を供える。元日は初詣やおせち料理でお祝いし、デパートで念願の福袋をゲット。平凡ながらも幸せを実感できる瞬間です。

しかし、お正月明けは1年のなかで3番目に自殺者が多い時期(1位が夏休み明け、2位が新年度直後)です。仕事が辛すぎたと感じている人は、自己を見つめ直すいい機会です。

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会社が辛いあなたへ

社員の尊厳を軽んじる人や組織には、時として厳罰で臨む必要があります。その対策も整いつつありますが、まだ時間が掛かります。あなたの「いま」が辛い場合、どうしたらいいでしょうか。仕事を客観視して限界を感じたらどうすればいいでしょうか。

いくつかの手段があります。会社を相手に戦う場合は次の方策しかありません。

<労働基準監督署に駆け込む>

ブラック企業対策の記事を読むと、「労基署に駆け込め」という人がいます。通常は窓口であしらわれて相手にしてもらえません。運よく監督官と面会できたとします。おそらく、次のように言われるはずです。

「会社に連絡を入れます。依頼があった旨を話しますがいいですね」

監督官は司法警察権を有しており、検察の捜査権と同質とされています。しかし、多くの案件が寄せられるので調査は簡単には進みません。労基署に駆け込んだことは多くの社員に知られることになります。「いま」の辛い状況を改善するにはいたりません。

<労働委員会に提訴>

個別労働紛争のあっせん、ユニオンを通じて労働委員会に提訴しても、命令までに1年を費やすことになります(却下も多い)。労働委員会は公的な組織になるので、権限を行使することができますが審議が進みません。また、労働委員会の命令には強制力はありません。あなたの「いま」の辛い状況を改善するにはいたりません。

<労働組合に入会>

社内に労組がなければ、外部の一般労組に入会します。入会すると、労組から会社宛に団交の申し入れがあります。会社はこれを拒むことはできません。正当な争議活動については、刑事上および民事上の免責が与えられることになります。例えば、争議活動によって会社が不利益を被っても罰すことができません。争議活動に対して不利益な取扱いもできません。

あとは、労働者の覚悟です。会社の前で、実名入りのビラをまいたり、シュプレヒコールをあげながら周囲を街宣することができるでしょうか。当事者の精神的負担もかなりのものですが、これに堪えられる覚悟があるかです。

<訴訟>

民事では、強制力のある判決が下されます。しかし、長期化するリスクもあります。労働審判では審理が3回以内のため迅速な解決が可能です。さらに、弁護士をつけず個人でも提起することができます。しかし、個人で戦うにはそれなりの法律的な知識が必要になります。和解金も月収の数カ月程度ですがそこをどのように捉えるかでしょう。

会社を敵にして抗うのは得策ではない

筆者は会社と争うことはお勧めしていません。運よく復職できても、待っているのは茨の道です。

会社から退職を求められたら、退職金などの面で有利な条件を引き出す交渉くらいにとどめ、次のキャリアパスを探したほうが生産的ではないかと考えています。

抗った場合、なんらかの報復が待っていると考えるべきでしょう。実際には報復をしてはいけないのですが建前です。懲戒、異動、降格、賃金カット、あらゆることを想定しなくてはいけません。会社を相手に争うことになりますので、相当な覚悟が必要です。

あなたに言い分があるように、会社にも言い分があります。それらをつき合わせれば、100%正しいということは滅多にありません。まずは情報を収集することです。この時だからこそ、自らを客観視し冷静に考えてみましょう。あなたの希望が叶いますように。