よく耳にする「~させていただく」という表現。個人的には違和感を覚える言葉の一つです。
ビジネスシーンでもよく使われている表現ですが、使いすぎると違和感を覚えます。
はじまりは民主党政権か
「させていただく」の表現は、国政の場でも一般的になりつつあります。
「国会会議録検索システム」で「~させていただく」が、どの程度使用されているのか調べてみました。衆議院、参議院、両院協議会・合同審査会等で確認できるものが、15586件あります。
直近で確認できるものとして、屋良朝博(立憲)、藤原崇(自民)を紹介します。
「~させていただく」を使用するルールは、相手に許可を得る必要があるかという点です。双方とも、議長に発表の許可を得ていることから使い方としては間違っていません。
いつ頃から増えてきたのでしょうか。データを鳥瞰すると、ここ10~15年で使用頻度が高まったことが分かります。何があったのでしょうか。
筆者なりに仮説を立てると、時期的には民主党の与党時代(2009年~2012年)と重なるような気がします。
2009年は、民主党政権が発足したタイミングです。当時、違和感を覚えたのが、「代表を務めさせていただいております」「質問させていただきます」という国会答弁でした。また、行政刷新会議が行っていた「事業仕分け」なるものが注目されました。
正義の民主党が、国家予算のムダづかいをする役人を懲らしめる場面は記憶に残ります。このときに多用されたのが「この事業は中止とさせていただきます」でした。「政治家は言葉が命」といわれますが、安易に捉えすぎていたように思います。
TVで拡大する違和感
最近では、テレビでタレントが「させていただく」を使用しています。おそらく、丁寧な話し方だと思っているのでしょう。「出演させていただきます」「お付き合いさせていただいております」などは、へりくだりにしか聞こえません。
先日、ある料理番組で次のような表現を使っているアナウンサーがいました。さすがに、ちょっとやり過ぎ感がありましたね。
「それでは、いただかさせていただきます」
「いまから召し上がらさせていただきます」
最近、スマホで文字を書くことが多くなったせいか、意味不明な言葉や非礼な文章が増えたように感じています。
この機会に、大人にふさわしい文章力を身に付けたいものです。