私は2019年夏にニュージーランドへスキー旅行に行った経験がある。その時にアゴラへ書いた記事はこちら。
そして今回、カナダのウィスラーへスキーに行ってきた。今回はそのレポートである。
今、ニセコを始めとした日本のスキー場に欧米を含めた世界中からスキー客が集まるようになっている。最初はカナダにスキーに行っていたオーストラリア人がニセコに来るようになったのがきっかけだ。そういう経緯からか、温泉旅館が中心だったニセコの宿泊施設も欧米スタイルのものが増えてきて、外国資本による不動産開発が進むようになってきた。
そういう訳で、今回は欧米スタイルのスキーリゾート滞在を経験してきた。
ウィスラーに滞在したのは2024年1月1日から4泊。日本だと正月休みのハイシーズンで宿泊費が最も高くなる日程だが、欧米圏の場合はクリスマス休暇が中心になるため、価格のピークは12月中。1月に入ると少し安くなるので、そのタイミングに旅程を設定した。
とはいえ高いことに変わりはない。普通のホテルだと最低でも1泊1室6万円はする。カプセルホテルでも1泊2万円以上。これに比べると日本のホテル代が国際水準でみるといかに安いかが、よくわかる。
私はホテルだと高いので、1泊4万円代のコンドミディアムに4泊することにした。それで20万円弱。飛行機は小松空港から台北乗り継ぎのエバー航空でバンクーバーまで往復にした。小松からの国際線が予約時点では台北便だけだったし、日本からの直行便より安かったから試してみた。安いといってもエコノミー利用で往復1人25万円位である。
ホテル代の単価だけを考えたら高いと感じるけど、現地4泊で往復の飛行機代まで入れて正月に1人40万円、と総額で考えれば、まあこんなもんかという気もした。
リフト券は1日1万円強。クリスマスのハイシーズンを過ぎたから割り増し料金は逃れたが、これが国際標準価格である。ニセコの1日券は2023-24シーズンで9,500円。日本人の感覚だとずいぶん高くなったと思えるけど、国際的には十分安い価格だ。
現地での滞在は、ニセコにも増えてきたコンドミディアム初体験だ。日本的にいえばリゾートマンションだが、フロント業務をやっていてその部分はホテルと一緒。ただ共有施設は屋外温水プール位で、食事は外で食べるか自分で作る必要がある。ただスキー場周辺のホテル村には飲食店が沢山あるし、旅行者向けのスーパーもあるので、調理するのも困らない。という訳で、今回は自分で食材を買ってきて部屋で調理もしてみた。
宿泊した部屋は一番安い所だったので、ワンルームに台所が付いているだけ。まともな部屋ならベッドルームとリビングダイニングは独立しているが、そんな部屋だと1泊10万円以上する。私の部屋は換気扇がなくて肉を焼いたら部屋中に臭いが充満してしまうが、まあ安いから良しとする(それでも高いが)。
日本と比べるとレストランの値段は高いのだが、自分で調理すれば安く済む。肉なんて焼くだけだから、それで十分だ。安い肉なら150g500円程度で買えた。それでも美味しかったけど、カナダ産AAA肉だと1000円位。こっちの方がより美味しい。また鮭やまぐろの切り身は1000円位。レストランに行くより自分で調理するのも、結構楽しかった。またテイクアウトのお店も充実している。私も1食はピザを買ってきて部屋で食べた。寿司のテイクアウトもある。カリフォルニアロール中心だが。
朝食はスーパーでサンドイッチを買ってきたりしたけど、1個1000円程度する。ニセコだったら冬場は売り上げトップになるセイコーマートに行けば300円位で日本のおいしいサンドイッチを買えるから、まあ日本のスキーリゾートはお買い得だと感じる。
ゲレンデの方はといえば、とにかく広くて標高差があるのが特徴だ。でも雪が少ない。気温も低くなく、ベースで3度からマイナス3度程度だった。雪ではなく雨が降った日もある。下の方のゲレンデは人工降雪機でぎりぎりコースを作っていて、初心者はゴンドラで上のゲレンデまで往復する、という感じだった。
画像は一番下のゴンドラ乗り場付近の様子。上級者でも下の方はゲレンデの雪が悪すぎて石を踏んで板の滑走面を傷つける恐れもあるから、ゴンドラで降りた方がマシだ。白馬八方尾根のゴンドラ駅の上下で雪質が変わるのと似たような感じだった。
さすが世界随一のスキーリゾートだけあって、街の施設も充実していて過ごしやすいとは思った。欧米人のスキーリゾートでの過ごし方は、スキーだけでなく夜の飲食やショッピングも楽しむということがある。ショッピングという点ではウィスラーより軽井沢の方が遥かに充実している。もちろん軽井沢はスキー場とは関係なく巨大なショッピングセンターを作っているためだが。スキー初心者のアジア人には軽井沢が大人気のようだが、そこはゲレンデとショッピングに対する楽しみ方の比重の違いになる。
雪質や物価を考えると、時差がなく距離が近いオーストラリア人だけでなく欧米からも日本へのスキー客が増え続けているのも、よくわかる気がした。北米からであっても、日本までの飛行機代を入れてもトータルの滞在費は日本に来るのとウィスラーでは大差ないと思える。今後もニセコ地区を始めとした日本のスキーリゾートは、欧米人対応のコンドミディアムや飲食店・スーパーが増えていくんだろうと感じた。
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