最高裁での判決確定を受け、毎日新聞は12日(21面、ウェブ版は11日付)、「特区報道の敗訴確定 本社220万円支払へ」と題する記事を掲載した。
「敗訴確定」を報じたのはよいが、その反省の無さには呆れかえるばかりだ。
まず全般に、概ね適切な取材に基づく正当な記事だったが、一部不備があった、ということにしたいらしい。この基本認識が全く間違っている。
例えば、会食に関して、「記者は(中略)14年については法人側が負担したということを確認しました」などと、あたかも一定の裏付けはあったようなことを書いているが、訴訟過程で明らかになった経過はこうだ。
- 学校法人幹部は当初の取材で、2014年11月に原(私)及び官庁職員と会食し、費用負担したと言っていた
- その後、原及び官庁職員への取材があり、前後のスケジュール上(15時までイベントに参加し、夕方の飛行機で出発)、会食の可能性はおよそないことを説明した
- 学校法人幹部はその後、飲食したかは不明と発言を修正した
- このため、毎日新聞記事では、「会食」ではなく「懇談」とした(ただし、「総菜を盛った大皿が並ぶカウンター席で」などと、会食らしき表現にはした)
言うまでもなく、飲食せず会話しただけなら「法人側が負担」などありえない。いったい何を「確認した」つもりだったのか支離滅裂だ。こんな杜撰な取材で、特定の取材源に引きずられ、思い込みで記事を作っていた。プロセス全体が問題なのであって、一部確認が不十分だったといったレベルの話ではない。
さらにとんでもないのは、記事中の以下の記載だ。
判決では、WG委員の協力会社が特区の提案者からコンサルタント料を得ていたという報道が事実だと認められました。
こんな事実はない。そもそも、経営に関わったことも金をもらったこともない会社が他社からコンサル料をもらおうと、私の知ったことではなく、そんなことを訴訟で争ってはいない。したがって、判決で事実だと認められるわけがなく、まして「WG委員(原)の協力会社」などという認定を裁判所がしたこともない。
この期に及んで嘘を重ね、私を少しでも貶めようと虚偽報道を続けるのはいい加減にしてもらいたい。裁判で勝ったが、いわばセカンド名誉毀損にあったようなものだ。
毎日新聞に求めたいのは、こんな言い訳と嘘による自己正当化ではなく、第三者による徹底した検証を行うことだ。真摯な検証なくして再発防止はできない。毎日新聞は、他社の不祥事ではいつもそう主張しているはずだ。