日経平均は爆上げだけど…:複雑な気持ちの個人投資家

日本では羽田の事故の陰になりあまり話題にならなかったボーイング737MAX9型機のドアが航空中に吹き飛んだ事故は北米ではより重視されており、連日トップニュースに近い状態です。原因究明が進んでいますが、ボルトの緩みがあったこと、当該機は数日前に与圧の警告が表示されており、アラスカ航空が飛行制限をかけていたとのことです。日本のニュースでは非常ドアのところに椅子がある、と報じていたものもありますが、飛行機の設計上、そこに非常口がありますが、席数上、非常口にしなくてよく、非常ドアをドアとして使わないようにするための27キロもあるドアプラグが落ちたという事故です。これもヒューマンエラーなのでしょうか?世の中が複雑になり、人がキャッチアップ出来ない時代なのかもしれません。

では今週のつぶやきをお送りします。

日経平均は爆上げだけど…

個人投資家の方は日経平均が爆上げした今週、自分の手持ち銘柄と比べて「全然儲かってない」と嘆いている方が非常に多いと思います。今回の上昇はあまりにテクニカルで資金がほとんど大型株に流れたこともあるし、テーマが定まっていないので今週の火曜日から金曜日までコンスタントに上昇した銘柄は限られています。特にひどかったのが金曜日で日経平均は527円も上げましたが、プライムの上昇銘柄数は551,下落が1058銘柄です。ではなぜ日経平均は上昇したのか、といえばファーストリテイリングの好決算発表でこの銘柄だけで日経平均が200円以上上がるなど一部銘柄への偏りなのです。

いわゆる指数相場になっているわけでスタンダード市場になると上がり方はより緩やか、グロースになると全然上がっていないのです。「新NISAのお金は何処に行った?」と聞きたいところですが、ここにきて円安が進行しているのを見ると海外のファンドに資金が流れている可能性は見て取っています。もちろん、根本には日本企業の海外子会社や関連会社が資金を日本に戻さず、現地で持ち続けることで円高要因が消えていることもあります。つまり、企業も新NISAをする個人も「投資はやっぱり海外だね」になっている可能性はあるのです。

日経平均が今年史上最高値をつけるのでは、と囃す声もありますが、それは宴以外の何物でもなく、踊り過ぎの余韻は大きいとみています。個人的には今年の日本経済は悪くないと予想しており、株価も上伸するとはみていますが、この数日の値動きは日経平均が覚醒というより「世界の中のグロース市場」になってしまったのではないかと勘違いするほどです。企業収益の改善と賃上げなど全般的な底上げは見られますが、「日本の強みは何?」という部分が形に表れていない、ここは気になります。

GOTO_TOKYO/iStock

英米のフーシ派との戦いは第二のイスラエル/ハマス戦争

イスラム教シーア派の過激派組織、フーシ派はハマスを支援していることもあり、イスラエルが関与する貨物船が紅海を航行する際に襲撃を繰り返してきました。代替ルートのパナマ運河は水不足でこちらも通過するのに苦戦であり、国際貨物市場が極めて悪化しています。これに対抗するために英米が中心となり、フーシ派の拠点があるイエメンの施設を爆撃、フーシ派はこれに対して報復を宣言しています。イスラエルが戦うハマスもイスラム原理主義の一種で、フーシ派もその流れですのでアメリカがイスラエルに自制を促す一方で、英米もフーシ派攻撃をするという悩ましい流れになっています。

もちろん、フーシ派を叩かなければ欧州、中東とアジアの物資輸送は滞り、石油の価格は再び急上昇することになります。今般の攻撃は英米はオーストラリア、バーレーン、カナダ、オランダが参加、またニュージーランドと韓国などが行動に対する賛同を示しています。日本は加わっていません。韓国というのが気になります。日本がこの手の問題の国際協調には憲法上の問題もあり、躊躇している間に韓国がより国際社会に入り込む可能性を見ています。平和維持の定義は日本国憲法が出来た時と変わってきている中で日本がセキュリティは全部外注、自国に直接影響なければ知らんぷり、というわけにもいかないでしょう。

このフーシ派との戦いは嫌な引き金になるかもしれません。英米が戦争をすることを正当化するきっかけになるからです。シーア派総本山のイランはまだ動きが見られません。ただ、いつまでも放置プレーはしない気もします。一方、アメリカはバイデン政権の支持票を得るために平和維持のためには果敢に攻めていくというメッセージがどうしても必要です。先日のブログで国家の指導者は自国の運営がうまくなければ目先を変える施策をする、と申し上げましたが、バイデン氏もその戦略に出るとすれば2024年は騒々しい年になるのかもしれません。

国と自治体は孤立化する集落問題の根本解決を

能登半島地震を見ていて「日本の強靭化」は何処にあるのだろうと改めて強い疑問を持ちました。今回孤立する集落のケースでは集落に通じる道路が一本しかない場合が問題を大きくしています。私の本業である不動産開発では常に「二方向避難」が設計の前提条件になっています。マンションの部屋でも一定サイズ以上は二つ目の出口が必要だし、建物が非常時の避難ルートは複数確保されています。地震がほぼないカナダですらそのような対策が施されているのです。私が「ポツンと一軒家」に批判的なのはテレビ番組としては面白くても災害対策としては最低なのです。

なぜ、国や自治体が震災の多いわが国で強力な体制を打ち出せないか、それは個人の権利が強いからです。例えば「おたくの家は旧耐震、構造的にも弱いのでこの家にはもう住めません」という強制はできません。そんな中、群発地震がこの数年ずっと発生し、今後もその可能性が残る能登半島に於いて自治体が規制できず、壊れた道路やインフラを直すだけ、というのは強靭化対策とは全くかけ離れたものであります。

土地や建物の所有者からすればそこに住むのは自由である、と主張したい気持ちはわかりますが、危険の可能性が大であり、いざという際の災害対策は無尽蔵、無制限にできない故に移住を何らかの形で推し進める必要はあると思います。米山隆一元新潟県知事、現衆議院議員がXで「甚大な被害を受けて維持が困難な集落に関しては、復興・復旧よりも住民の集団移住を検討するよう訴えた」ところ、炎上したとのことです。私は米山議員はよく言ったと思います。今回の群発地震の原因は通常のパタンと違い、地下の液体が吹き上げるという要因からすると個人的には今後を非常に心配しているのです。自衛隊は何故あるのか、それは震災対策のためだ、というのも何かしっくりこないのです。

後記
バンクーバーは今年初の寒波でこれを書いている今はマイナス13度、体感温度はマイナス24度。普段はコートすら着ませんが、今日は完全防備。オフィスビルにも人はまばら。道路は降った雪が凍り付き、特に坂道でドライバーが車の制御が出来ず、「あー、ぶつかる」ドンという状況が多発しているとラジオが必死に伝えておりました。こうなるとスキー場も閉鎖だそうでめったに来ない寒波に弱い都市部は開店休業といったところです。まずは寒波が通り過ぎるまで冬眠と行きたいところですが、イベント続きでさて、どうなることやら。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年1月13日の記事より転載させていただきました。