京都市長選挙に村山祥栄氏は立候補を止めるべきでない

京都市長選(2024年1月21日告示、2月4日投開票)で激震が起きた。有力候補の一人だった村山祥栄元京都市議に、架空パーティー券疑惑が持ち上がり、推薦していた日本維新の会・教育無償化を実現する会・国民民主党京都府連が推薦取り消しを決めた。

村山祥栄氏 同氏事務局 SNSより

京都市長選挙では、村山氏のほか、自民・立憲民主・公明の3党が推薦する鳩山由紀夫内閣の内閣官房副長官だった松井孝治氏、共産党が支援する弁護士福山和人氏、元自民党府議の二之湯真士氏の4人が立候補を予定し、世論調査ではわずかながら村山氏が有利という数字も流布されて予断を許さない状況だった。

ところが、村山祥栄氏が年末に実態のない政治資金パーティーで金を集めたということを共産党が発見し、維新などが推薦取り消しを決めたものだ。

私は松井孝治氏は役所の後輩だし、村山氏は地元の市議だから両方とも古いお付き合いなので、どちらかを支持するというということは言わずに、こう書いたこともある。

京都市長選挙での私の希望は、共産党候補を三位以下に沈めること。相乗りと共産党という選択しかないことがいかに京都を悪くしてきたか見て来た。世論調査で、村山祥栄と松井孝治がほぼ横一線で並んでいるのは、嬉しい展開だ。

両候補とも、人格、見識ともに京都市長としてふさわしいことは私も保証できるから、共産党を2位にさせないことがいちばん大事で、その見通しがたつなら、村山と松井の人柄をよく判断していいと思う方に投票されるといいと思う。

共産党系の福山さんを3位以下にするために、村山と松井と弱そうな方が投票するのが賢明だと申し上げてきた。

その状況は何も変わっていない。共産党系の候補はもともと、建設的な論争の埒外である。松井氏と村山氏がしっかり政策論争をすることに意味がある。相乗りがゆえの生ぬるい市政の問題への課題指摘が選挙を通じてしっかりされてこそ、現職後継候補が当選したときにも、負の遺産は継承しなくて済むのである。選挙は人を選ぶだけのためにあるのではない。健全な政策論争の場としても必要なものなのだ。

そういう趣旨だから、私は苦しいだろうが、村山祥栄氏が立候補をとりやめないことを望む。

客観的にみて勝つことは遠のいたかもしれないが、不祥事で選挙をぶち壊した罪ほろぼしのためにも、相乗り vs. 共産党というパターンが何十年も続いて不毛の選択をしいられてきた現状への戦いを止めてほしくない。

それは、別として今回の不祥事についていえば、相乗り vs. 維新という図式だったにもかかわらず、選挙資金はもっぱら村山氏が調達していたということだろうか? 11月になって急に何度も資金パーティーをやっていたということは選挙資金がショートして、それを自分で調達しようとおもって焦ったように見えるが、どうなのだろうか? 全国的は誰しもが、これは維新主導の選挙だと思っていたのに意外だ。

もうひとつは維新などは、今回の村山氏のしたことと同じケースが発覚したら、議員や首長候補は、公認や推薦はしないという方針で臨むのだろうか。

そもそも、政治資金法違反は悪いことだが、汚職などと同視するのは行きすぎだ。さらに、清和会の案件ほど酷い話ではないのだから、推薦は保留するにしても、なにも相乗り候補と共産候補を利するようなことにしなくてもいいのにという気はする。

鈴木宗男氏を一旦除名すると言って、自主的な離党にしたときもそうだが、あまり目前の火の粉をふりはらうことに前のめりならずに、落ち着いて行動してほしい。

それから、村山氏が立候補しても当選はおろか、2位も難しいのかもしれない。何週間か前に、共産党は村山と松井が競ったら、松井を援護するのだろうなという話をしたことがある。相乗り vs. 共産という図式は、反自民の有権者が共産党にまわるので共産党にも利益を与えてきた。

それが維持されるわけだから、今回の事態の最大の受益者は共産党だ。