イヴォ・ポゴレリッチ(イーヴォ・ポゴレリチ)、初体験♪
おっきいねー。ボロボロの楽譜を譜面台に置いての、5曲からなるショパンプログラム。
なるほど〜!1980年のショパンコンペティションでの大問題の理由が、聴くとよくわかる。
とてもよく響く音。質感ずっしり。音色自体はとても美しくて好み。ただ、テンポやフレージングが、すごく個性的。激しいフォルテや思い切りタメを効かせた間合いで、まるで知らない曲みたいに感じる。クルレンツィスの指揮を初めて体験したときの感覚に似てるな。不思議というか新鮮。好き嫌いは激しいでしょうけれど、好きになったらはまりそう。
ソナタ3番三楽章、バレエ好きには「椿姫」2幕パドドゥでお馴染みの曲が、なんとも不思議なテンポでちょっぴり居心地悪い。一つ一つの音は、ものすごくきれいなのだけれどね。フォルテの迫力というかびぃーんと響く感じが強烈。
ベルスーズ57-5、こちらもバレエ的には「ザ・コンサート」のオープニングでお馴染み。これはテンポの不思議さよりも、音色の美しさが上回って、うっとり聴き惚れる。全体的に、速いテンポと強い音の方が、魅力伝わる気がする。
オペラグラスで覗く譜面がとても興味深い。バルカレーロ60-9、ラスト手前の譜面、びっしり音符でほぼ真っ黒。どうやったらこんな譜面を弾きこなせるのかしら・・。
舞台に下がらずそのままアンコールでさらに2曲のショパンを弾いて、ピアノの蓋閉じて、リサイタルの終わり。
ショパンコンペティションの非優勝者の中で際立って有名なポゴレリッチ、ようやく体感できて満足。
終演後、サイン会。この姿じゃ街ですれ違っても絶対にわからない(笑)。
編集部より:この記事は加納雪乃さんのブログ「パリのおいしい日々5」2023年11月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「パリのおいしい日々5」をご覧ください。