加工食品食べると寿命は縮むのか
Threadsは女子が多いこともあって、自然食品、無添加、ヴィーガン、無農薬、オーガニック、有機栽培などが大好きな方がたくさんいらっしゃるのですが、実は平成16年に法律で「無農薬」「減農薬」「無化学肥料」「減化学肥料」などの表示は使用禁止になりました。それだけ商売にこうした言葉を適当に使っていた人が多かったわけです。
んで、本日見かけたポスト
一瞬、「なるほどと思っちゃうんですが、天の邪鬼なわたしはクソリプをいたしました。
「加工肉を加工肉やファストフードなどを多く食べる人ほど病気になりやすいし、死亡リスクが高い」というのはその文言自体は正しいのです。しかしマクドナルドが日本に上陸してからはや20年が過ぎましたが、日本は空前の高齢者率になっています。
死亡の中央値はこのように10歳くらいも伸びて、
マクドナルドが日本に来るまでは1000人もいなかった100歳以上が10万人近く。80歳以上はもう1300万人です。寝たきりは500万人まで増加しました。あれれ、おかしいな。加工肉を食べたりファストフードを食べる習慣が一般的になったのに寿命は延びている??
で、日本の加工肉の消費量ですがこのサイトによると
こんな感じで20年前からかなり増加しています。2人以上の世帯ですけどこの20年で高齢者の2人だけの世帯が非常に増えたので、実際には1人あたりの消費量は格段に伸びたはずです。
「ファストフードを食べているのは若い世代だから若い世代は早死にするはずだ」と主張される自然食品派の人もたくさんいそうです。日本能率協会の調査ですが、確かに若いほど食べています。
しかしですね。団塊の世代は20年前は50歳代なのでファストフードなんて普通に食べてました。50代の人だってマクドナルドは半数弱が月1で食べているし、今の高齢者はコンビニでめちゃくちゃ見かけますよね。実は高齢化でコンビニの主要顧客層はもう高齢者なのです。
あれ?なのにどうして寿命がバカみたいにのびてるの?
ということになります。ファストフードが寿命縮めないで延ばしてる?? ww
否定しようかと思いましたが、その可能性もあります。20年以上前までは高齢者は動物性タンパク質をあまり食べなかった。動物性タンパク質は価格も高かったから全年代もそうですよね。しかしファストフードができて動物性タンパク質を気軽に安価で摂る事ができて寿命が延びている可能性だってあるんですよ。
あれ?加工肉は寿命を縮めるのでは? それもファクトなんですが、そのヒントは「閾(しきい)値」にあります。
物事は100か0では無く「閾値」がある
添加物も一定量までは特に体に影響は無いが、閾値を超えると悪影響が出る ってことです。
アメリカ人の平均寿命は日本人より10歳は短く、その理由に「高カロリー」「高脂肪」の食事をすることが挙げられています。特に貧困層のコーラの消費はキチガイみたいな量です。人種別でもこんなに差があります。
ニューヨーク市が炭酸飲料の規制をしたことは有名ですが、
・ニューヨーク市の成人の 58%は肥満か糖尿病を有している。
・公立高校生のうち約40%が肥満である。
・ニューヨーク市の成人の8人に1人は糖尿病である。
また、砂糖の摂取が過去よりも増加していることを示すものとして、1955年のマクドナルドで販売していた飲み物は7オンス(約210ml)だったものが、現在では32オンス(約 960ml)!!!
アメリカでマクドナルドにはいってそのコーラのでかさに驚くのはテンプレですが、日本のマクドナルドのコーラのサイズがこれ
で、アメリカがこれ
要は、「アメリカなど、先進国での「事実」として、加工肉やファストフードなどを多く食べる人ほど病気になりやすいし、死亡リスクが高い」というのはその量がハンパないからということになりますね。一定量まで食べても健康に害は無く逆に寿命が延びるものでも、閾値を超えると害になるということなんですよ。
一般的なクスリや農薬、食物、飲料に含まれる化学物質もこんな感じで
最大無作用量(閾値)までは人体に影響は無いのです。だからゼロにする必要はなく、これを超えようとしなければ良いだけ。日本人のバカみたいな寿命の延びを見ると、殆どの人は食品に含まれる化学物質の閾値は超えていないと思われるわけですね。
あ、無添加自然食品でも閾値を超えるとヤバいものがあります。
たとえばワラビは発がん性物質を大量に含んでいるので、「無農薬の山菜は安全だ」とばかりに毎日バクバク食べると高い確率でがんになります。また「添加物が入ってる山崎パンは危険よ」といいながら近所の自然食品屋のカビの生えたパンを食べさせるとカビも強い発がん性物質ですし、肉や魚などの焼き焦げにも発がん性物質が含まれています。
当然、放射能にも閾値はある
被ばく線量と急性放射線障害 Credit: 出典: 国際原子力機関/世界保健機構1999年安全性報告書より
0.1グレイ(約100mSV)以下では人体にはなんの影響も無いのでここらが閾値かと思われます。これを超えても必ずがんになるわけではなく、がんになる可能性が出るという程度です。
放射能はゼロでないと安心できないとか言う人もいます。が、自然放射能も日本だと年間に2mSVというかなりの量の放射線を受けており、これはつまり放射線閾値の1/50に相当します。胃のX線検査の1回分くらいですね。CT検査だと10mSVですから10回やると閾値を超えてきます。要するにゼロなんてあり得ないわけですよ。
まとめますと、添加物も化学薬品も放射線も「これ以上超えたらダメ」という線が基準であって、それを超えないと人体には影響がでにくい。添加物もバカみたいに食わない以上、そうそう影響はでないっていうことになります。そんなわけで、添加物ガーの前に「閾値はとんでもなく高く、それを超えないくらいなら影響は無いよ」ってことを覚えましょう。
編集部より:この記事は永江一石氏のブログ「More Access,More Fun!」2024年1月16日の記事より転載させていただきました。