ビジネス効率が劇的にアップする”地味な”仕事術3選

黒坂岳央です。

サラリーマンをしていた頃、筆者はものすごく仕事の効率が悪いビジネスマンだった。同僚や上司の仕事より2倍以上の時間をかけ、成果はそれ以下という体たらくだった。休日出勤と残業で効率の悪さをカバーし、一時期は周囲がみんな定時で退社していく中、オフィスで一人になってからようやくエンジンがかかるのを感じていた時期もあった。

あまりに仕事が遅いのでまるで何かの呪いをかけられているのか?それとも周囲は秘密の魔法を使えるのか?とバカバカしいファンタジーを本気で疑うほどだった。

しかし、起業して仕事の効率は一変した。会社員時代と比べて遥かに多くの仕事をこなしつつ、作業時間は圧倒的に短くなった。大変地味だが、効果は大きい。そんな誰でもすぐ真似でき、今すぐ実践できる仕事術が我が身を救ってくれたのだ。今回3つに絞って紹介したい。

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1. 新着通知は全てOFF

まず、Eメール、チャットをはじめPCやスマホのあらゆる通知をOFFにすることを提案したい。「そんな小さなことで生産性が上がるわけがない!」と思われるかもしれないが、やってみれば分かる。これは大きな効果がある。

人間の集中力、決断する意志力には限りがあることはすでに多くの人に知られている。朝着る服の選択肢を絞りましょう!といったライフハックはありふれているが、実は一番消耗するきっかけが仕事中の通知だと思っている。

目の前の仕事に集中力を使っているのに、突然大きな決断、細かい取捨選択が必要な連絡が入れば、その瞬間にすべてのマインドシェアは新しい通知内容に専有されてしまう。新しいタスクを終えた後はまた元の作業に戻るが、その頃にはとっくに気力は尽き果てている。通知をONにしてしまうともはや一日中、いろんなタスクが飛び込んでくる。すべてに律儀に付き合っていたらエネルギーはあっという間に枯渇し、トータルの生産性は著しく低くなる。

自分はPC、スマホはすべて新着通知をOFFにしている。電話は子供の学校連絡以外でならないように工夫している。問い合わせへの対応はタスクリストに入れ、チェックは一日1-2回だけにする。そうすると、事前に自分が想定した最も効率的で優先度の高いものから順番に処理していける。

「想定外」は途方もなくエネルギーを消耗するので、これを通知OFFで意識的にブロックするのだ。もちろん、緊急の連絡はあるだろうが問題はその数だ。1日1件くらいなら付き合ってもいいが、それが5件、6件と増えるともはや優先度は崩壊する。優先度をつけない仕事の生産性は著しく低い。そのためにも通知をOFFにすることを提案したい。

2. スモールテスト

会社員時代、起業してから仕事の生産性がものすごく高い人にはある共通点がある。それは「小さくテストする」という発想だ。

上司から大きな仕事を頼まれた時、仕事ができる人は常に小さなプロトタイプを作成して「方向性は正しいですか?」とチェックをしてもらっていた。よしんば、方向性がズレていたら傷の浅い段階で即軌道修正ができる。

これは起業してからも同じだ。勢いがあり、変化に強く、収益性の高いビジネスはどこもスモールテストをしている。たとえば回転寿司のスシローは来店のたびに新メニューが追加されている。季節が変わるとまた新しいメニューに切り替わる。でも翌年、同じ時期は去年の新メニューが残っていたり、リストラされていたりする。小さなテストをしてウケが良かったものだけを生き残るようにしているのだろう。これは大変合理的だ。

筆者はいろんな仕事を抱えているが、必ずスモールテストをするようにしている。講演依頼やメディア出演依頼を受けたら、まず全体像と流れが分かる企画を出して先方にチェックしてもらう。方向性が正しければ、その時点でしっかり作り込むし、ズレていたら軌道修正をする。こうすれば大きなムダの発生をなくすことができる。慣れてくれば、このスモールテストを出すタイミング、仕上がりのクオリティなどもわかってくる。結果、ますます生産性が高まる。

これを実践している人からすると当たり前すぎる話だが、スモールテストを一切しない日本企業、自治体はかなり多いと感じる。まず小さいテストをせず、とてつもない時間と頭数をかけ、失敗と分かりながらも惰性で続けていると感じることが多い。ここを変えれば変化に強くなり、生産性も高まるだろう。

3. タスクリストを作る

最後はタスクリストを作るのである。これは特に注意力散漫でバタバタ動いているのに全然仕事が進まないという人には劇的な効果がある。タスクリストとは、仕事を始める前に当日やるべきことを箇条書きで書き、終わったらチェックを入れて消していくという作業のことだ。シンプルだが効果が絶大である。

なぜこれが効果が大きいのか?事前にやるべきことを洗い出しているので「そういえばあれやらないとダメだな。いやでも、この仕事の方が先にやったほうがいいのかな?」と仕事中に余計な選択をしなくて済む。また、ああ、そういえばあれもやらないと!いやこれも!みたいにやることがドンドン湧いてきて脳の中が慌ただしくならない。目の前のタスクを1つずつ集中して処理できるのだ。

加えて、何にどのくらい時間を要したかを後からチェックできる。「去年の今頃この作業は何日くらいで終わったかな?」と進捗記録を確認できるので、「3日確保すればいけそうだ」と精度の高い見積もりも作ることができるだろう。

いずれも実践することに特別な才能や若さは必要ない。今日からすぐ始めることができるものばかりだ。正直、実践した瞬間は大した効率アップに感じないかもしれない。だが、仕事の効率アップは複利で効くし、効果は永続的だ。少し浮いた時間に重要性の高いタスクを入れることで、長期で見れば大きな効率アップになるだろう。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。