羽田空港事故で実感した無理がありすぎるインバウンド対策

私は今年の年末と新年は日本におりましたが、イギリスに帰るために飛行機に乗ろうとしたのが1月の2日でした。

羽田空港に到着した途端に、JALと海上保安庁の機体の事故に遭遇しました。この事故で私は日本が進めているインバウンド対策にはかなり無理があると言うことを実感いたしました。

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インバウンドで日本にやってくる外国人観光客の多くは羽田空港を使います。

事故が起きた直後の羽田は乗客の多くが外国人観光客で飛行機が飛ぶかどうかもわからないために、大勢の人々が空港内にとどまっていました。

ところが羽田はそもそもそれほど大きな空港ではありません。あの先進国のハブになっている都市に比べると、非常に使い勝手が悪く、こういったトラブルがあるとすぐに人がいっぱいになってしまいます。

空港の使用人数に比べ、売店やレストランの数が全く足りず、座るための椅子さえありません。

空港には必要がないはずの意味不明な日本橋のレプリカ、無駄な展示スペース、高い土産物だらけな売店、狭く使いにくいレストランはあっても、トラブルがあった場合に休めるベンチ、その場で食べられる普通の飲料や食べ物、薬やオムツを買える充分な数の売店がありません。

入国管理を通った先にはブランド品の店と土産物店がずらっと並んでいます。観光客で長蛇の列で、飲み物やちょっと食べるものすら買うのも大変です。

15年ぐらい前は出張者向けに酒のつまみや普通の食べ物、日本の文庫本や旅行中に必要な衛生用品が沢山あったのに酷い改悪です。

観光客だらけのロンドンやパリでもここまで出張者や地元民、普通のものを買いたい人を無視した状況になっていません。

とにかくインバウンドの客に何か売りつけさえすればいいという商売根性丸出しで印象最悪です。

バブル期の擦れた観光地の様で、これではまともな中流や富裕層は来なくなります。

空港にいた高齢者や足腰の悪い方、子供は座る場所すらなかったので、床にしゃがんでいる状態でした。お金がある程度ある中年や高齢者は日本を旅行先として避ける様になるでしょう。こんな使い勝手が悪い空港では困るからです。

売店では、早々に飲み物や食べ物が売り切れてしまい、空港で夜をあかさなければならないかもしれませんでしたから、イライラして、店員さんに罵声を浴びせる観光客もいたほどです。そのうち暴力を振るお客も出てくるでしょう。

アナウンスもかなり混乱しており、英語がはっきりしないので何を言っているのかわかりません。

一体どうなるのかわからないという人だらけでした。

私は幸い、飛行機に2時間遅れで乗ることができましたが、今回の事故における羽田空港の大混雑やキャパオーバーは実は軽く見るべきではないと考えています。

羽田空港のような重要インフラであっても、利用者の数を想定した設計になっておらず、大混乱していたわけです。

これは羽田空港に限らず、インバウンドが大盛況な最近の日本ではよく見かける光景です。

私が日本に帰国するたびに、都内に行くと、外国人が激増した地域の電車やバス、道、店舗などは数年前に比べて明らかにキャパがオーバーしています。汚れた場所も増えました。飲食店やブティック、雑貨屋なども明らかに外国人観光客向けが増えました。

どこも大混雑で、日本人の自分が不愉快に感じるわけで、旅行に来た人らも良い印象は持たないでしょう。

日本らしい良さは消え去り、スペインやギリシャの場末の観光地の様になっています。

空港の入国管理も他の先進国ではありえないレベルの大混雑で、外国人向けの列に並ぶと長時間待たなければなりません。

コロナ禍が明けてからはホテルも予約が埋まってしまうこともあり、出張者や受験生がかなり困ることもあります。

また街中の表示なども全くなかったり、その一方で必要がない多言語表示で見にくくなっています。実用性を良く考えていません。

インフラの点ですでに首都圏に集中が高まった日本人ですでに目いっぱい、その上で元々受け入れ体制ができているわけではないのに、無理矢理インバウンドを進めてしまっているのです。

羽田空港が明らかなキャパオーバーで、かなり使いにくくなってしまったように、日本の街中、特に都内は、インバウンドを無理矢理進めているが、そのためにかなり無理が出てきているのではないでしょうか。

日本におけるインバウンドは、都市計画の視点から捉え、地元の人の生活の質や利便性を踏まえた上で、「量より質」で、総合的な評価をした上で進めていくべきです。

今の調子でインバウンドをどんどん進めていくと、地元の人の生活の質も下がりますし、旅行者も良い印象を持たなくなり、リピーターは期待できなくなっていくでしょう。