【京都市長選】候補者本人の福山和人が「棄権防止活動の電話」

候補者本人の福山和人がSNSで「棄権防止活動の電話」

https://archive.is/ogTbm https://archive.is/mr5ZU

令和6年京都市長選挙に立候補している福山和人 氏(共産党が支援)がSNS(X)で「棄権防止活動に取り組んでいます」「棄権せず投票しましょうと呼びかける危険防止活動は、公選法が規定する選挙運動ではないため、投票日当日も、誰でも、個々面接・電話などあらゆる方法で行うことができます。」と投稿しました。

候補者本人による」本投稿及びこのような電話行為は、禁止されているところの投票日当日の選挙運動に当たるのではないか?という指摘が相次ぎました。

そこで、京都市選挙管理委員会に伺いました。

京都市選管「事前にOKと言わず・候補者の名乗りの有無は重要な要素」

本件に関する京都市選挙管理委員会の認識は以下でした。

  • Xで話題となっていることは知っている
  • 本人の名乗りがあるかどうかは一つの重要な要素
  • 事前に候補者陣営にこのような場合はOK、という事を伝えているという事は無い
  • 他の一部自治体でみられるような、市からの電話での投票呼びかけはしていない(車を巡回させて放送で呼びかけている)
  • 疑問視する電話は他にもあった。本件は警察にも伝えており、「実際に電話を受けた」と申し出る人が居ないかも含めて警察で判断することとなっている

京都府警も本件は認識し、事実関係の把握に努めるとしています。

他の自治体では「特定の候補者の支持者等がすると選挙違反のおそれ」

今回、ネット上で違法ではないか?という指摘が出たのは、京都市以外の一部の自治体においては、このような行為は選挙運動に当たるとされるおそれがある、と明示的に書いている所があるからです。

質問:投票日当日に○○事務所から「もう投票には行かれましたか」という電話があったけど、選挙違反じゃないの?
回答:投票日当日の投票率向上の呼びかけや啓発は、選挙管理委員会が行いますので、候補者等が行うことはありません。これを特定の候補者を支持している人等がすると選挙違反のおそれがあります。

同様の記述は四万十市、日南市、羽幌町、松戸市、三木市、羽曳野市、加古川市、下野市、等のHPで見られます。

棄権防止活動の電話が禁止されている投票日当日の選挙運動になる?

棄権防止活動と銘打っていても、単にその選挙区の投票率を向上させるに留まらず、特定の候補者にとって利益となることを狙って行っているのではないか?そのような行為は、禁止されている投票日当日の選挙運動に当たるのではないか?という疑問。

有権者の投票行動として「知名度」を重視する人は多く、知っている人を選ぶ傾向があるというのは普遍的でしょうから、「候補者本人が名乗ること」が重く見られるのは当然でしょう。

候補者側だと名乗らなければどう転ぶかは抽象的には分からないですが、一般的に、電話に出る層はこの選挙区なら自分に入れる確率が高い、他の候補者に入れるかもしれないけど数をこなせば自分の方が有利、という計算があり得ます。

仮にですが、「投票呼びかけの会の福山と申します」みたいな名乗りだった場合、どうなるのか。「福山」という苗字の者は全国に多数いるので「市長選に立候補している福山和人」であると電話対応者が想起するとは限らないため、単にそのように名乗るだけなら許されると考えるのかどうか。

似たような事案は2018年の新潟県知事選挙の時に検討したことがあります。

この際は候補者本人ではなく支援者による電話であり、SNSにもその活動が投稿されましたが、結局は当該投稿は後日削除されました。

スポンサーリンク

X(旧Twitter)上での福山和人弁護士の投稿自体はアウト?

福山氏のX(旧Twitter)上での投稿は、アカウント上に氏名が書かれており、プロフィール欄には「2024京都市長候補」とあることから「名乗り」がされている状態ですから、この投稿自体がアウトでは?という疑問を持つ人も見られます。

確かにSNSだと有権者以外の不特定多数を含めたものになるという拡散性がある、他方で、特定の有権者に直接呼びかけてないので行為の”強度”としては数段下がる、という把握ができるとは思います。

選管や警察も、この投稿それ自体についても直ちにアウトとは言い切っていません。

首長候補者が選挙期間中に選挙の公平性への疑義を生じさせるな

仮に候補者本人が名乗りをした場合、それは特定候補者への投票を呼び掛ける行為とは直接は言えませんが、有権者の行動心理として「知ってる人」に投票する傾向があります。他の選対関係者による電話という代替手段がある中でわざわざ候補者本人が名乗り出て実施するというのは、その習性を利用した行為のように見えてしまいます。

投票日当日の特定候補者への投票の呼びかけが一般的に禁止されているという現行の規制を前提とすると、選挙の公平性を毀損する行為と言い得る。

そのため、気になってるのは以下の点です。

  • そういう運用を他の候補者もやってるのか?
  • やっても大丈夫だという事が当該選挙区内で共有されているのか?

投票率が低い世の中において投票を促す行為をそんなに責め立てるべきなのか?という問いに対しては

首長候補者が選挙の公平性への疑義を生じさせるな

これに尽きます。これは違法ではない場合でも妥当する話です。だからこそ他の陣営もやってる、前からOKだったってんならもう責めるべきものではなくなると考えます。

「投票数が少ない現代だから投票を促す行為は違法性は低い」と考えることはできません。それは特定候補者の有利に働かない場合に言えること。

もっとも、本来的に投票を促す行為自体には悪性は無い上に、「もっと選挙運動を自由にやらせるべきだ」という立法論を述べることは有りでしょう。ただ、それは立候補してる当事者らが現在進行形で言ってよいことではない。

まとめ:現時点で選管が自信をもってOKと言えるものではなかった

少なくとも、現時点で選管が自信をもってOKと言えるものではなかったとは言えます。

京都府警がどう公選法を解釈・運用するのか、実際に電話を受けたという人が出てきて具体的にどういう会話が為されていたのか、録音などの証拠化は為されるのかどうかが今後注目です。

ちなみに福山弁護士は以下の記事でも取り上げたことがあります。

以上

京都市役所 京都市HPより(編集部)


編集部より:この記事は、Nathan(ねーさん)氏のブログ「事実を整える」 2024年2月4日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「事実を整える」をご覧ください。