「20代でついた差」は一生取り返せないのか?

黒坂岳央です。

「人生はいつからでも遅くはない。遅咲きで成功した人もいる」という意見に対して「遅咲き事例のほとんどは若い頃から実績をあげている。現実的に20代でついた差は埋めようがない」という反論も見られる。

どちらが本当だろうか? 考察したい。

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大成功はなくともプチ成功ならある

遅咲きで成功するか?しないのか?これは「成功」の定義次第だ。確かに国民的なレベルで知名度が高く、誰もが認めるような大成功者を考えるなら遅咲きの成功事例は確かに皆無と言っていい。世界、日本を代表するリーディングカンパニーのオーナー社長や、世界的なクリエイターは皆、20代から非凡な才能を発揮している人ばかりであり、鳴かず飛ばずの期間中も行動力は人並み外れた波乱万丈の人生を歩んでいる人ばかりである。

しかし、プチ成功程度なら遅咲きの成功事例はいくらでもいる。どのくらいの規模感をプチ成功と考えるかにもよるが、たとえば所得水準や資産規模で考えるところの年収3000万円とか、資産3億円くらいならいくらでもある。

高卒でずっと農業をしていた人が40代半ばで起業した人とか、それまでブラック企業のような不動産会社のサラリーマンだったが、IT系でサービスを展開して一躍売上を伸ばした起業家などだ。また、普通のパート中年女性だった人が、思いつきでスマホを立てて動画をアップしてみたら一気にアルゴリズムに乗ってインフルエンサーになり、パートを辞めて専業YouTuberになったという人もいる。

彼らを「珍しくない」と言えばさすがに語弊はあるかもしれないが、「遅咲きはありえない」という主張を否定できる程度の事例数はあると思っている。

自分自身も決して大成功者ではないが、ビジネスが本格的に軌道に乗って満足の行く結果を出せたのは40手前になってからだ。20代までは今とはまったく関係ない仕事やライフスタイルだったので、自分自身も遅咲きだと思っている。

プチ成功で良いなら、年齢は本当に関係なくいつからでも遅くはないだろう。

やってきたチャンスをつかめるか?

人生をひっくり返すような大きなチャンスは、誰にも等しくやってくる。自分自身も片手で数えるほどしかないが、大きなチャンスがいくつかあった。それを逃したら今の自分はなく、正直運も関係すると思う。

難しいのはその見極めと握力である。エジソンも言っている通り、チャンスはチャンスの姿をしていない。むしろ、チャンスとは逆に見える姿でやってくることがほとんど。だから多くの人は見過ごしてしまう。だがチャンスを見極めることができた人は、20代までパッとしなかったとしても中高年から伸びる可能性はある。

そしてチャンスを手放さず、握り続ける握力も重要だ。チャンスを使って人生を変えるには大きな負荷がかかる。不確定性も精神的に辛い事が多い。たとえばビジネスでもせっかく先見の明があって先駆者としてエントリーできたのに、継続して挑戦し続ける胆力がなく早々に撤退。後発にゴボウ抜きされていくのを、退場したリングの外から指を加えて見ているだけという話もある。こうしたチャンスを見極め、握り続ける握力に年齢は関係ない。その人個人の胆力と眼力次第なのだ。

「20代でついた差は埋められないよ」こうした他人から言われた言葉に素直に聞き入れて自信をなくし、挑戦をあっさり諦めてしまうような人は年齢に関係なく成功は難しい。早咲き、遅咲きに関わらず成功する人は良くも悪くも絶対に人に流されないからだ。結局、必要なのは成功への執念、食らいついて絶対に離さない力なのだ。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。