パリ国立オペラ座バレエ、”くるみ割り人形”ヌレエフ

パリ国立オペラ座バレエ、”くるみ割り人形”ヌレエフ。イネス&ポール。

11月にプルミエール・ダンスーズに任命(今年は、プルミエ・ダンスールはコンクール昇進でなく任命という形になった)されたばかりの、正式にはまだスジェ。体つき、特に腕がミリアムに通じるものがあって、好みのダンサーちゃん。今回のクララが、多分初めての主役抜擢。

フィジックはクララにピッタリ。登場シーン、かわい~。元々儚げなというかちょっと悲しげな表情なので、もう少し笑顔が多い方がいいかな。踊るの必死で、多分そこまで意識がいかないのでしょう。

最後のパドドゥは、ちょっと息切れ。そつなくこなしてるけれど、求心力というか存在感が足りず、踊りに余裕がない。とはいえ、スジェの子と考えれば十分満足。これから技術はもちろん演技力やオーラもどんどんついていくことでしょう。せっかくもっている美しい腕、ミリアムみたいな表現ができるようになってほしいな。今後を楽しみに♪

こちらも初役のポールも、そつない優等生的踊り。もちょっとできるでしょう?と思わなくもない。手首ひらひら衣装なので、あの素晴らしい手首から指先が半分近く隠れるのがもったいない。面白みない役とはいえ、かつてこの役に人間味を通わせたジョゼやマニュに思いを馳せる。

くるみ(ほんとは”はしばみ、ヘーゼルナッツ)の上演、久しぶり。10年くらいやってなかったと思う。久しぶりに見ると、子供たちがすごくかわいかったり(ドロテは、男の子が足りなくて男の子役で出演した、って、言ってた(笑))、子供大人問わず小さな演技が楽しかったり、バレエ的には物足りないけれど、クリスマスのおとぎ話としては悪くない。

雪の精の動きってこんなだったけ、とか、ちょっと忘れている部分も。中国人の踊りは、名前変わって(ご時世)アクロバット踊り、に。かつらかぶってないのは前回?昔は辮髪だった。

オケは、金管以外はちゃんと聴ける。チャイコフスキーのバレエ音楽ってやっぱりすごいなぁ、としみじみ。チャイコフスキーに限らず、バレエの音楽はどうしたって、ロシアが見事。グラズノフもプロコフィエフもストラヴィンスキーも。バレエが発達した国というのもあるのでしょうね。

じゃあバレエが生まれたフランスは?強いていえば、アダンかドリーブ?あ、ビゼーとラヴェルもいるけど、ロシア勢に敵わない。


編集部より:この記事は加納雪乃さんのブログ「パリのおいしい日々5」2023年12月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「パリのおいしい日々5」をご覧ください。