2月14日は「ふんどしの日」。有給休暇を取った私は東京に来ていました。この日はほかにもなんかの日だったようで、町は浮かれ気分の様相でしたが、はて何の日か思い出せません。
そんな私がやってきたのは品川区の戸越銀座でした。五反田から東急池上線に乗って2駅で到着。2015年にリニューアルされ、木をふんだんに使った駅に生まれ変わりました。
改札を出てすぐの通りが戸越銀座商店街。3つの商店街の総称であり、東西1.3キロの道中に400もの店が並びます。土日開催の多い歩行者天国ですが、戸越銀座では平日の夕方も実施していて車を気にせずぶらぶら街歩きが楽しめるのがうれしいです。
戸越に人が集まりだしたのは関東大震災がきっかけでした。震災後、被害の大きかった上野や浅草の商人たちや、横浜の人たちが工場が多く立地していた大崎地区に近いこの場所に活路を見出して移住してきたことで町が形成されたといいます。
商店街を築くにあたり本家の東京・銀座からレンガを譲り受けたことからこれに肖り「戸越銀座」と命名、全国に数多くある「○○銀座」の先駆け的存在となりました。
観光地として多くの方がこの商店街を歩きますが、この日は平日で住民の方のほうが多く見かけます。戸越銀座は観光地というだけではなく地域の方の重要な生活の場として親しまれているのです。
戸越銀座をぶらぶら歩く楽しみは何といっても食べ歩き。なかでもコロッケは平成21年に始まった立正大学との産学連携による「戸越銀座コロッケプロモーション」によって知名度が向上し、町のあちこちでコロッケを売る店が見られるようになりました。戸越銀座はコロッケの街といわれるまでになり、土日に観光客が多く訪れる商店街として注目されるようになったのです。
そんな数あるコロッケを販売するお店の中から選んだのは「MEAT&DELI355」さん。コロッケのほかにもお惣菜やサラダなんかも売っています。
1個250円。イートインスペースや外に小さなテラス席もあってその場で食べることができます。夕方の戸越銀座を行き交う人たちを眺めながらほくほくのコロッケをいただきます♪
戸越銀座に来たら外せないものがもうひとつあります。それが「龍揮」の「焼き小籠包」! 外の小さな机で立って食べることも持ち帰ることもできるのですが、土日は行列ができるほどの賑わいです。
小籠包は蒸すのが主流で焼いたものはあまり見たことがなかったのですが、どうも上海では焼き小籠包もよくあるよう。お店の方は上海出身で地元で食べた味をここで提供されているそうです。焼いているといってもこれは小籠包。厚手の皮を破れば熱々のジューシーな肉汁があふれ出てきました(なぜその写真撮らなかった)。
夕暮れ時、徐々に周りが暗くなってきました。歩き疲れたので商店街を少し折れたところにある「戸越銀座温泉」でひとっ風呂浴びることにします。看板に掲げられている「天然黒湯温泉」が気になりますね。戸越のほか、大森、蒲田界隈の銭湯は軒並みこの「黒湯」を売りにしています。
温泉の中は写真を撮れないので写真をお借りしましたが、黒湯はその名の通りお湯が真っ黒の温泉。フミン酸とよばれる土壌の中の動植物が分解、発酵された泥炭状の地層に含まれる物質が多く含まれることで色の黒いお湯になるのだそうです。弱アルカリ性でぬめりがあるのでしっとりとした肌になることが期待できます。そのため美人の湯とも呼ばれる泉質です。ただぬめりが床についているので床を歩くときは注意が必要ですよ。
下町情緒を感じながら食べ歩き、この地域ならではの黒湯も楽しめる戸越銀座。飾らず普段着でふらっと歩くことが楽しい町だと思います。戸越の住民になった気分でぜひ歩いてみてください。
編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2024年2月27日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。