立春が過ぎ、「光の春」を実感できる季節になってきた。これから梅雨までの間は太陽光発電が最も活躍する季節となるが、再エネ導入量の拡大とともに再エネの出力制御を行う頻度が多くなっていることが問題となっている。
2月6日に行われた閣議後記者会見の質疑で、齋藤健・経済産業大臣は、記者の「最近再エネの出力制御が常態化しつつあり再エネ普及と拡大に水を差しかねない事態だが、大臣の受け止めと対応策はどうか」との問いに対し、
- 再エネの出力制御は、電力の安定供給を維持しながら再エネの導入を進めるために、むしろ必要な措置である。
- しかし、再エネの導入拡大に歯止めがかからないよう、昨年末に「出力制御対策パッケージ」を取りまとめた。
と答えた。
出力制御を行うことは、「せっかく利用できる再エネを捨てることになりもったいない」との声もあるが、どう対応するのが適切なのだろうか。
停電を防ぐために必要な電気の需給バランス
電気はそのままでは貯めることができないため、電力系統においては電気を使う量と発電する量(需要と供給)を常にバランスさせる必要がある(同時同量)。このバランスが崩れてしまうと電力系統の周波数が乱れ、最悪の場合、大規模停電が発生する恐れがある。
電気の需要は時々刻々変化するとともに、太陽光や風力といった自然変動電源の発電量は需要の多少にかかわらず天候に左右される。
また太陽光発電は、日中の発電量は多いが、陽が西に傾くにつれて急速に発電量が下がるという特徴を持っている。
このように刻一刻と変化する需要と供給のバランスを一致させるため、電力系統で電源をどのような条件や順番で動かすかを定めた「優先給電ルール」がある。
通常は「優先給電ルール」に従い、発電量(供給)が需要を上回る可能性がある場合には火力発電所や揚水式発電所などの出力を調整して対応しているが、それでも供給が需要を上回る恐れがある場合に再エネの出力制御が行われることになる。
このように、停電を防ぎ電力の安定供給を確保するために需給のバランスを取ることが必要不可欠であり、さまざまな電源の出力制御が日常的に行われている。
再エネの出力制御は優先度が低く「苦肉の策」ではあるものの、仮にそれを全くやらなければ大停電が起きることになり、そうなると再エネ自体も発電を続けられなくなってしまうため、齋藤大臣の「必要な措置」というコメントとなっているのである。