韓国政府、現場離脱した研修医の免許停止手続きに突入という記事が出ていた。
医学部の定員増(約3000人から5000人)を引き金とする研修医の退職騒ぎが収拾せず、韓国政府が約7000人の医師免許停止手続きを進める強硬手段をとるところまで事態が切迫している。医師数の不足を解消するために定員増にした結果、現在の2年分以上の医師免許の停止に至るのはどう考えても理屈に合わない。医師の意地と政府の面子の張り合いだ。
医学部の定員を1.6倍以上に増やすのも驚き、研修医の退職騒動も驚き、医師免許の停止も驚きだ。研修医が何を守ろうとして退職しようとしているのかも疑問だ。研修医側は「医療は研修医の犠牲の上に成り立っている」と主張しているのも、もっと不思議だ。そもそも誰のために働いているのだろうか?そして、犠牲を強いられているのなら、医師数を増やせば負担が減るはずだが、「自分は大きな犠牲を払っているのに、後輩は楽をするの」が不満なのだろうか?
そもそも、医師を目指すのなら、単なるサラリーマンではないという覚悟が必要だと思う。使命感をもって医師を目指しているなら、若い時の苦労は「買ってでもする」気持ちが不可欠だ。昭和の考えだと言われようが、単に偏差値が高かったので医師になった人が増えれば、他の医療従事者も患者さんにも不幸は広がるのは言うまでもない。
医師という職業の使命感がなければ、医療の質は低下する。「働き方改革」よりも「働きがいのある改革」を進めて欲しいものだ。
編集部より:この記事は、医学者、中村祐輔氏のブログ「中村祐輔のこれでいいのか日本の医療」2024年3月4日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。