さきほどまでいた大さん橋を向こうに見ながら黄昏時の横浜を歩きます。
やってきたのは山下公園。横浜観光の定番スポットです。海の向こうにはベイブリッジ。脇に見える工事現場や塔には灯りがともり始めました。
山下公園に来るのは5年ぶりくらいかな。東京在住時代にデートで来たりしたこともありましたが昼の訪問ばかりで夕方に来たのは初めてです。
山下公園といえばシンボル的存在なのが「赤い靴はいてた女の子」像。
詩人・野口雨情が作詞した童謡「赤い靴」は誰もが謳ったことがある有名な楽曲です。小説からの間でこの女の子には実在のモデルがいるのかいないのかという論争がありますが未だ定かではないようです。
赤い靴の女の子は横浜港、そしてはるか向こうの海を眺めてたそがれているように見えます。連れられて行ったとされる異国、アメリカを想っているのでしょうか。
山下公園にはかつて貨客船として太平洋航路で活躍した氷川丸が係留されています。昭和3年に横浜で建造され太平洋航路で活躍し、一時は海軍の病院船として徴用されましたが戦火を逃れ、戦後も昭和35年まで民間の旅客を運び、就航当時と同じシアトル航路で最期を迎えています。多くの船が戦争で海に沈む中、唯一残った戦前からの貨客船であり、国の重要文化財に指定されています。
山下公園東端あたりから海に延びる埠頭に期間限定でオープンしているのが「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA」。
中に入るには入場料が必要ですが、ちらっとなら外からでも実物大のガンダムを見ることができます。
時代を超えて根強い人気を維持するガンダムですが、わたしは子どものころに本放送が放映されていたリアル・ガンダム世代。同級生は競ってガンプラを購入しては作り、戦わせていました。あいにく私はそこまでのめり込んでいたというわけではなかったですが、今も元気なガンダムをみると少年時代を思い出しますし、なんかうれしい気持ちになります。
2020年から営業していた「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA」ですが、この3月末で営業終了とのこと。1/1実物大ガンダムやプラモデル、コラボグッズなどをゲットしたい方は山下公園に急いでください。
振返れば赤く染まりつつある空をバックにそびえ立つ横浜マリンタワー。夜、ここから眺める横浜港の夜景はさぞ美しく格好のデートコースなのでしょう。今回は早めに帰らないといけなかったのでタワーに登ることはできませんでしたが、前回ご紹介した大さん橋とともに、次は夜の横浜港の散歩をして記事を書きたいなと思いました。
夕方6時をまわり、あちこち歩いていたのでお腹もすきました。横浜まで来て空腹を満たす場所と言ったらここしかないでしょう、横浜中華街!
若いころデートで生まれて初めての皮蛋(ぴーたん)を食べたり、学生時代のサークルメンバーと高いアワビを食べたり、会社の上司に裏通りの通な店へ連れて行ってもらったり。いろいろ思い出のある場所です。
昼歩いてもちろん楽しいですが、中華街はやはり赤い提灯や派手な看板に明かりがともる夜に歩くのがおすすめですね。
派手な門が目をひく「関帝廟」は三国志で有名な関羽を祀ります。鎖国が明け多くの中国人が山下町に移住して中華街を作りましたが、その頃関聖帝君(関羽)の木像を祀る祠が中華街のこの裏通りに建立されたのが関帝廟の始まりです。ほかにも玉皇上帝など中国で崇められる神が祀られており、160年に亘り異国の地で暮らす中国人の心のよりどころとなっている場所です。
数ある中華料理店の中、今回は関帝廟近くにある翡翠楼さんに入りました。
野菜中心の細切り肉のあんかけ焼きそばをチョイス。一人暮らしで野菜が不足しがちな生活を送っていたのでこの選択は正解でした。何人かで来れば何品か注文してシェアできるんですが、残念です。こういう中華料理店は一人より複数で来る方が楽しめるのかなと思います。
帰りは根岸線の石川町駅から帰りました。長きにわたり中華街観光の玄関口でしたが、みなとみらい線が開業して以来その地位が低下しました。観光需要を再度取り込むため、2016年に石川町(元町・中華街)と副駅名がつけられています。
どこを切り取っても絵になる町、横浜は夕暮れ時に訪れてもやはり絵になる町でした。また訪ねる機会がありそうなので次は夜、明け方にも歩いて様々な表情を見つけたいと思いました。
編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2024年3月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。