CAR-T細胞を自己免疫性疾患に応用⁉

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最近は忙しすぎて、論文を読む時間もブログを書く時間が不足している。さらに、花粉症か寒冷アレルギーなのかわからないが、朝出かける際や夜遅く歩いていると、突然呼吸困難に陥っている。胸が苦しくなると、キラキラと眩しく感じ、めまいが襲ってくる。1〜2分休むと回復するし、朝の気温が5度以上の場合には何も異変は起こらない。

これまで花粉症も起こったことがないので、不思議だ。ChatGPTに病名候補をあげてもらうと下記のような回答があった。

(質問)寒い朝に呼吸困難で胸が苦しくなり、目が眩く、めまいがします。1-2分静かにしていると収まりますが、どんな病気が考えられますが?

ChatGPT
寒い朝に呼吸困難や胸の苦しさ、目の眩みやめまいを感じる場合、いくつかの原因が考えられますが、特定の病気を診断することはオンライン上では難しく、医療専門家による評価が必要です。しかし、一般的に以下のような状態が考えられます:

  1. 喘息:
  2. 心臓疾患:
  3. 貧血:
  4. 低血圧:
  5. パニック障害や不安障害:

とあり、お決まりのように「このような症状が続く場合は、医療機関を受診し、適切な検査と診断を受けることが重要です。自己診断やインターネットでの情報に頼るのではなく、専門家の意見を求めてください。」と続く。

残念ながら、寒冷アレルギーは出てこないし、2は否定はできないが、他は考えにくいし、5などであれば、周りの人が腰を抜かすだろう。

標題の話題に戻ると、2月22日のNatureに「CAR-T therapy for multiple sclerosis enters US trial for first time」と言う記事が掲載されていた。

CAR-T細胞はB細胞由来のリンパ腫や白血病で劇的な効果を示すことが知られている。B細胞を認識できる抗体とTリンパ球を活性化する部分を繋ぎ合わせて、抗体部分でB細胞を捕まえてT細胞がB細胞を殺す仕組み(キメラ様に遺伝子を組み合わせたことからChimeric Antigen Receptor: CAR)を利用した治療法だ。

がん細胞特異的な治療法と言っている医師も少なくないが、正常なB細胞を含めてB細胞を攻撃する。したがって、治療後にB細胞が非常に少なくなったり、無くなってしまうこともある。

自己免疫疾患は自分の細胞に反応する抗体が産生されている場合が多く、自分で自分の細胞を攻撃することによって種々の病気が起こっている。抗体によって、攻撃する細胞が異なるので、自己免疫病と言っても、いろいろな臓器に症状が出現する。その自己免疫病のひとつである多発性硬化症(Multiple Sclerosis)という病気に対して、抗体を作るB細胞をやっつけて改善を図る臨床試験が米国で始まるのだ。

もちろん副作用のリスクはあるが、治療法のない重篤な自己免疫病に対しての新たな灯となる可能性は大きい。現在利用されているCAR-T細胞の治療費は約500、000ドル(約7500万円)なので、効果が確認されると医療経済的なインパクトは大きい。

またまた、どうする日本だ!

PS:多発性硬化症についてのChatGPTによる説明

多発性硬化症(MS:Multiple Sclerosis)は、中枢神経系(脳と脊髄)に影響を与える病気です。自己免疫性の疾患であり、身体の免疫システムが誤って健康な神経組織を攻撃してしまいます。これにより、神経細胞を覆っている保護膜であるミエリン鞘が損傷し、神経線維の炎症や傷害を引き起こします。これが神経信号の伝達障害を生じ、さまざまな身体的及び認知的症状を引き起こす原因となります。

症状
多発性硬化症の症状は人によって大きく異なり、症状の種類や重さも様々です。一般的な症状には以下のようなものがあります:

  • 視力の問題
  • 筋力の弱さ
  • 疲労感
  • 歩行困難
  • 痺れや感覚の低下
  • 調整障害や不安定な歩行
  • 認知機能の低下
  • ムード変動やうつ病


編集部より:この記事は、医学者、中村祐輔氏のブログ「中村祐輔のこれでいいのか日本の医療」2024年3月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。