日産とホンダは将来結婚するか?

北陸新幹線が16日に敦賀まで延伸します。能登半島地震の後だけに復興の後押しになればよいかと思います。それにしても東京から見ると敦賀が近くなり、大阪から見れば特急サンダーバードが敦賀止まり。関西の人からすれば北陸方面への乗り換えが不便との声はわかります。大阪の人からすればリニアも当面来ないし、北陸新幹線の大阪延伸もいつのことやら。敦賀といえばかつての小浜藩、戦国時代は浅野長政、どう見ても京都を軸とした関西圏でした。これじゃ現代版関ヶ原の合戦じゃないですが、東と西の力関係みたいで嫌ですねぇ。

では今週のつぶやきをお送りいたします。

株は引き続き調整局面

2か月近く前にこのブログで3月は深めの調整となりそう、と申し上げたのですが、覚えている方はいらっしゃいますか?当時は株価はアゲアゲ状態で専門家でそんな指摘は誰もしていなかったと思います。3月は決算月でもありまた日銀の政策変更が予想される中、プロの投資家がそんなに無頓着に日本株を買う背景になれないのは自明でした。ではこの調整がどうなるかですが、チャート的には5日平均移動が25日平均移動を下に切るところで、調整は続くとみます。日銀の政策決定会合が18-19日ですが週明けは要注意です。理由は火曜にマイナス金利政策終了の発表が見込まれるためです。

で、その日銀ですが、政策変更方針のリークは確信犯ですね。会合前に市場にリークして衝撃吸収しているとしか思えません。YCC撤廃、マイナス金利誘導撤廃、ETF購入停止の3つが俎上にのりますが、3月の会合で全部やるよりも、4月と2分割で行うと私は見ています。植田総裁は石橋を叩くほうで黒田前総裁とはかなり違うアプローチです。市場はすでにこの政策変更を織り込んでいますが、問題は海外勢が日本国債を売り浴びせ、金利上昇に賭ける可能性がある点です。その場合、株価と為替にはボディーブローとなります。唯一、銀行株だけは上がるのでしょう。

一方、私の領域である北米市場を見ているとこちらも全然ダメです。高値水準にあり、マイクロソフトは新高値を付けたりしていますが、足を引っ張っているのが消費関連とEV関連。近いうちにまたEVが一社、倒産しそうです。市場ではテスラが悪役王者となっており、マグニフィセント7のM7から同社が落ちてM6が浸透しつつあります。今年のパフォーマンスではテスラ株はあのボーイングよりも悪く個人的には中期であと3-5割ぐらい下げても全く不思議ではないとみています。北米の爆弾はむしろ商業不動産の回復がない、つまり時間が解決するのもではなく、摩天楼がコンクリートの塊と化すリスクの方が強烈すぎる魔物に見えます。

日産とホンダは将来結婚するか?

日本の自動車会社がいつ減るのか、というのは80年代から言われていたこと。その中でトヨタが数馬身抜け出し、ダイハツ、スズキ、マツダ、スバルと「契」を交わします。自動車業界の巨人阪神戦である東の日産はルノー問題で数年間無駄にした出遅れを取り戻すべくようやくスタートラインに立ったばかりです。一方、無派閥のホンダは社長が前任の八郷隆弘氏から三部敏宏氏に代わってからようやく本田らしい動きを示してきましたが、長期プランで完全EV化まで踏み込み、カナダに2兆円規模の投資をする判断は社運をかけすぎている気がしないでもありません。

会見に臨む日産・内田誠社長と本田・三部敏宏社長 日産HPより

ここで浜松で創業ながらも東京青山に本社を構えるホンダが銀座のショールームにいまだにGTRを飾る日産と提携にむけた検討を行うと発表したのはナチュラルなのでしょう。正直、日産のプレゼンスはどんどん悪化しており、特に稼ぎどころだった中国がEVに押されたこともあり大打撃になっていますし、新車も目立ったものが出てきていません。というより消費者からみるとどのメーカーのどの車も顔かたちは違うけれど中身の差別化ができなくなってきたのは鮮明な傾向だと思います。とすればフルラインアップの両社とすれば共同作業できるところは進めていく、これは正しい方策だと思います。

では両社は将来結婚するか、ですが、これはわかりません。企業文化的にはいけそうな気がします。また日産は神学部出身の内田誠氏ではカリスマ性が出せないと思います。氏はあくまでも日産のドタバタの清算をして攻めの姿勢に転じるまでが力の発揮できるところでこのあとは技術を語れる社長が就任してもらいたいところです。個人的にはホンダとEVを一緒に作るならプラットフォームの共有化まで踏み込まないとだめだと思います。ここに三菱、更にホンダと組むソニーを加えればトヨタ連合に十分組する戦いになると思います、8つも自動車会社があるより東西決戦のほうが今の日本にはプラスだと思います。

ロシアの選挙とイスラエルへの選挙干渉

ロシアでは大統領選が15日から3日間にわたって行われています。出馬したのは4名でプーチン氏以外の3名は「体制内野党」と称され、現ロシア体制を支持するが、自分の声を主張する、そんな候補者ですので誰に投票してもさして変わりありません。全員ウクライナ戦争は支持しています。言い換えればウクライナ戦争に反対する者は立候補権が実質ないのであります。西側諸国からすれば「おかしいだろう」と声を上げると思いますが、ロシアは歴史的に帝政が1721年から始まり1917年のロシア革命を経て共産主義、そして今の体制であって先祖代々ロシア人に自分のチカラで立ち上がる「脚力」がないので国を作ることができない、これが実態なのです。

一方のイスラエルは注目かもしれません。アメリカ民主党の上院トップ、シューマー院内総務がネタニヤフ首相に「早く総選挙をせよ!」と要求しました。これは内政干渉そのものでアメリカ共和党のマコネル院内総務は「そんな発言は民主主義の原則に反する」とお怒りです。もちろん、イスラエル国民が決めることなのですが、世界世論のネタニヤフ首相に対する目線は厳しいものになっています。特に11日からイスラム教のラマダンに入っており、実質的にハマスもガザの市民も動きが取りにくい中で必死の休戦案を展開する仲介国にも疲弊感が漂っています。

国家の指導者が独断で暴走できる仕組みが正しいとは思えません。指導者は往々にしてYESマンを周りに固め、自分に意見する人を排除します。そこで強権となり、かなり無理な判断でも自在に進めることができます。同じことはウクライナでもそうだと思うのです。同国で延期している大統領選挙をやるべきでしょう。少なくとも国民が考え、国民が選択する余地を与えることが大事です。その点ではロシアや中国は国民が社畜ならぬ国畜になっていて国家の潜在的力量を完全に失っています。ネタニヤフ氏は自己防衛のみで首相から降りれば臭い飯が待っている、それをどうにかして引き延ばしているとしか私には見えないです。

後記
当地の大学で学生と共に外交問題に関するセッションに参加しました。私のテーブルは5人の学生や大学関係者と私。パネルディスカッションはアメリカ人教授が2名、カナダ人1名、日本人1名にモデレーターでしたが、アメリカとカナダの先生方の論理的思考と自己主張の強さに学生たちがノートに走らせるペンもさらさら動いたのですが、日本人の教授の時は手が止まったのを私は見逃しませんでした。なぜか、と言えば日本人の先生は何を言いたいのかさっぱりわからなかったし印象にも残らなかったのです。プレゼンのチカラがいかに重要なのか、あらためて感じた次第です。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年3月16日の記事より転載させていただきました。