現在は過去の努力の結果である

黒坂岳央です。

京セラ創業者の稲盛和夫氏は「現在は過去の努力の結果であり、将来は今後の努力で決まる」という言葉を残した。自分はこの言葉が好きで時々思い直すようにしている。

世の中はどちらかといえば他責の人が多く、現状の不満に対してついつい他人や社会を責めがちである。現状の不満は他人や社会が悪いと考える人は少なくない。確かに人生前半の10代、20代なら、まだまだ知識と経験不足で、過去の努力より過ごした環境が現状に強く反映されているといえる。

だが、30代以降となれば話は別だ。もう十分に長い時を過ごしている。自分は氷河期就職難、リーマンショックと何度か困難を経験したが、数十年の長い年月はこうしたテールリスクも揺らぎに変えてくれるのに十分な時間だったと感じる。

現状を他責にしても人生は良くならない。むしろ、自責にすることで少なくともこれからの未来は良くなると思うのだ。

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自己責任と運

これをいうと反発も予想されるが、人生全体を大局的に考えると最終的に人生は自己責任で決まる要素は大きい。ここでいう自己責任の対義語は運だと思っている。つまり、人生は自らの意思決定と運で決まる。

世界時価総額ランキング上位企業を見ると、ここ10年間はIT企業が趨勢を極めた。創業者や株主は大きな成長の恩恵を受けている。だが彼らは時代が変われば結果も変わったのではないだろうか。IT企業の創業者が石油企業が時価総額ランキングをトップを連ねていた時期に成人していたなら、人生の運命はかなり変わっていたと思っている。彼らは紛れもなく天才であり、意思決定も行動力も群を抜いていたからこそ熾烈な競争の勝者となった。同時に時代に愛された運も持ち合わせている。だから人生は自己責任であると同時に運も必要だと考える。

確かに運の要素は大きい。だが運も試行回数を増やし、適切な知識に加えて適切な判断で成功確率を高めることができる。試行回数は行動力という個人の要素で考えることが可能なため、短期的には運の要素は色濃く反映されるも、より大きな時間軸で考えた場合にはこれも個人の努力の範疇とも言える。件のIT創業者たちも、もしかしたらITの時代に生まれなかったとしても別の分野で今ほどでなかったとしてもある程度の成功を収めた可能性はある。

未来は現状の努力で作られる

これから来る未来がどうなるか?人によっては国家の運営や社会の繁栄と一蓮托生、運命共同体のように考えてしまう人もいるかもしれない。だが、マクロの環境がどうあれ、ミクロの結果は自分自身のこれからの努力で作るものである。「努力できない人もいる。努力も才能の内」という反論もありそうだ。確かにこれ自体は正論でも、それはマクロ経済を専門とする政策の仕事であり、あくまで個人レベルではマクロ環境の影響度を超えるために、ミクロとしての知識スキルを得て強く生き延びる生存戦略を構築するべきだと思うのだ。自分の付加価値を高める努力をするのみである。

これまでの結果は過去の結果である。同時にこれからの未来は現状の努力が作るのだ。

 

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