倫理を軽視する企業には退場を求めるしかない

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人を殺してはならない、物を盗んではならない、人をだましてはならないなど、人間としての行動規範(倫理)を子供のころに学んだだろう。小学校学習指導要領にも、1年生の道徳で「生きることを喜び、生命を大切にする心をもつ」を教えるとある。

リアルな世界で殺人や窃盗は起きる。一方、詐欺はネットでもできる。詐欺なら相手と対面する必要がないから悪の意識は薄い。こうして、ネット詐欺がますます横行する。

SNS投資詐欺による被害が278億円、ロマンス詐欺が177億円認知されたと、2023年の被害総額を警察庁が3月11日に報道発表した。

SNS投資詐欺に名前を悪用された前澤友作氏が、Metaに問い合わせた返信をXに公開している。返信の結語は「もっとも、このような措置も完全なものではなく、広告等に生じるすべての問題を検出することは困難であることはご理解いただければ存じます」だった。

この返信を開き直りと前澤氏は批判した。詐欺に結びつく広告掲載方法を見直さず、一生懸命に広告をチェックしているから我慢して、では開き直りと言われても仕方がない。

同様の問題はXにも。元旦に「能登半島地震の津波」と称したフェイク動画が拡散された。閲覧数に応じて報酬を支払うXの仕組みが悪用されたのだが、報酬の支払い方法が改められたという話は聞こえてこない。

Googleフォンは、記念写真で目をつぶった人がいたら、目を開いた顔に入れ替えられるというCMを流している。有名人の顔にすり変えるのにこの機能が悪用されることは明らかだが、それにはGoogleは目をつぶったままだ。

傷つく人を目撃しなくても済むネット上で、人をだます行為が横行している。MetaやX、Googleはその片棒を担いでいる。企業倫理の観点で問題を有する企業にどう対応したらよいだろうか。

倫理性の高い企業に投資するESGを重視する投資家は、一致団結して、これらの企業に市場からの退場を求めるのがよい。

政府からも警告するべきだ。これら外資企業の不作為によって、少なくとも年間450億円の被害が日本国内で発生しているのだから。一方で、デジタル時代にふさわしい道徳教育を、「人をだましてはいけない」を中心に強化する長期施策も求められる。

情報通信政策フォーラム(ICPF)では、4月12日に谷脇康彦氏を講師にお招きして、セミナー「データ駆動型社会への転換」を開催する。外資企業の皆様も含め、多くの方々に参加いただきたい。