経産省・金融庁・原子力市民委員会HPにも中国国営企業ロゴが:自然エネルギー財団大林ミカと内閣府の問題

削除・差し替えの経緯とその説明は必要だろう。

内閣府のタスクフォース資料に中国国営企業のロゴ

内閣府規制改革推進室「中国企業の透かしは大林ミカ氏が事業局長を務める自然エネルギー財団の資料」
どうなることやら 内閣府「中国企業の透かしは大林ミカが事業局長を務める自然エネルギー財団の資料」 内閣府の【再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース】の令和5年12月25日開催時=第29回と令和6年3月22日開催...

内閣府の再生可能エネルギー等タスクフォースのHP上にUPされた資料に中国国営企業のロゴが入っていた問題。

同タスクフォースの構成員である大林ミカ氏が所属している(同構成員の高橋洋も所属)公益財団法人自然エネルギー財団の資料であることが判明しています。

その後、様々な場所で当該ロゴのある資料が見つかりました。

経産省・金融庁・原子力市民委員会HPにも国家電網公司のロゴが

経産省*1*2・金融庁*3*4・原子力市民委員会*5*6の各HPの大林ミカ氏の資料上にも国家電網公司のロゴがあることが判明しました。

これは末尾にある上掲スライドにしかなく、これまで内閣府のページにUPされていたものはほぼすべてのスライドにあったのに対して、テンプレートも異なるため、不可解なこととなっています。

連続オンライン企画「原発ゼロ社会への道」 | 原子力市民委員会

経産省は25日午前の時点で資料の掲載をいったん取りやめ、としています。

資料6については、資料提出者(自然エネルギー財団)から、41ページ目において、誤って特定企業の透かしが入っていたため資料を差し替えたいとの連絡があり、資料の掲載を一旦取りやめました。当該資料において、特定企業の透かしが入っていたことに関する事実関係について、資料提出者に説明を求めていきます。

パワーポイント資料を使い回し?自然エネルギー財団大林ミカ資料の問題 

当該パワーポイント資料には消し忘れたと思われる要素が残っており、遅くとも2018年2月23日時点で資料の使いまわしが始まっていたことが分かります。

Carlos Barria / Reuters とあるのは、実在するロイター通信のフォトグラファーの名前ですが、どこかで彼の写真を添付していた、ということでしょうか?

他、もっと調べるといろいろ出てきそうではあります。

内閣府「不正アクセス等による資料改ざんの指摘⇒差し替えの要望」公文書管理の問題?

内閣府は当初「不正アクセス等による資料改ざんがあったのではないかとの問い合わせがあったため一時的に資料を削除します」*7という表示をしていましたが、その後、「掲載資料を差し替えたいとの要望があったため現在準備中」*8に変わりました。

これに対しては公文書管理の観点から批判する向きもあります。

ただ、「ロゴ混入資料」の観点からは、今回のものは実際の会議(動画が残っている)の内容には影響しないものであり、WEBページで公開しているという性質上、一定程度の差し替えの可能性は認めるべきと言えます。

なぜなら、本質的な内容に変更が無いからです。

他、例えば公開資料に権利侵害・公序良俗に反する要素が発見されたような場合には例外的に差し替え・削除をするべきでしょう。

「公文書管理」とはあくまで「管理」の話であり、それは国民による政府の政策評価の判断に資するためのものであって、必ずしもすべての資料を「保存」すべき要請ではなく*9、政策判断に資することよりもそのまま公開し続けることの弊害が大きい場合には、許されると考えるべきでしょう。

ただ、削除・差し替えの経緯とその説明は必要と言えます。

過去に同種の話が話題になった際のまとめを置いておきます。

まとめ:内閣府の対応の問題とセキュリティクリアランス、規制改革大臣の河野太郎氏の責任など

内閣府の対応の問題として、「問い合わせがあったから」「申し出があったから」を理由に一時であろうが削除しているという発信の問題があります。内閣府としての何らかの主体的な判断を示すべきです。問い合わせや申し出等はきっかけに過ぎず、それを受けて「確認するため」等の言葉で良い。

「自然エネルギー財団と中国政府・企業とは人的・資本的な関係はない」とありますが、前回記事*10でも書いたように、2016年に中国国家電網(SGCC)のよびかけで設立された【GEIDCO】の会長にSGCC会長の劉振亜が就任し、自然エネルギー財団設立者・会長の孫正義氏が副会長に就任し同財団は現時点でも260以上ある理事会メンバーの一つなので、GEIDCOを介して交流があったとは言えます。

次に、内閣府再生可能エネルギー等タスクフォースの構成員が挙げている資料の内容の信憑性については各所から疑義が呈されており、実態を反映しないデータをもとに政策決定され再エネ賦課金などの国民の税負担が増えることについては改めて厳しいチェックを受けるべきでしょう。

さらに、大林ミカ氏本人に関するセキュリティクリアランス上の問題も指摘されています。

そして、再エネタスクフォースは規制改革担当大臣の所管であるところ、河野太郎氏の(牧島かれん・岡田直樹が担当している時期が間にあるが)責任についても問われるべきでしょう。

*1:経済産業省 第70回 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 電力・ガス基本政策小委員会
*2:資料6 ヒアリング資料(自然エネルギー財団 大林事務局長
*3:「サステナブルファイナンス有識者会議」(第5回)議事次第
*4:資料4PDF 脱炭素に向かう 世界加速するエネルギー転換と日本(公益財団法人 自然エネルギー財団 大林 ミカ様)
*5:連続オンライン企画「原発ゼロ社会への道」 | 原子力市民委員会
*6:https://www.ccnejapan.com/wp-content/20210621CCNE_Ohbayashi.pdf
*7:https://web.archive.org/web/20240323060329/https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/conference/energy/20240322/agenda.html
*8:https://web.archive.org/web/20240323113711/https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/conference/energy/20240322/agenda.html
*9:だからこそ廃棄の基準が設けられ、実際に廃棄されている資料がある
*10:内閣府規制改革推進室「中国企業の透かしは大林ミカ氏が事業局長を務める自然エネルギー財団の資料」 – 事実を整える


編集部より:この記事は、Nathan(ねーさん)氏のブログ「事実を整える」 2024年3月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「事実を整える」をご覧ください。