誹謗中傷に巻き込まれたら?炎上から見る社会の影

chihiro sawane/iStock

最近、誹謗中傷が話題になることが増えました。今回は私のケースを紹介したいと思います。

2017年9月3日、眞子さまと小室圭さんの婚約が内定し、会見が行われました。しかし、12月に小室さんの母親と元婚約者の間に金銭トラブルがあるとの報道が流れます。2018年2月、結婚行事を延期すると発表。その後、小室さんへの批判が噴出しました。

一気に燃え上がる誹謗中傷

私は、「眞子さまと小室さんの結婚を容認すべきだ」といった主張を繰り返しました。その後、2021年10月2日に公開した「眞子さま、小室圭さん結婚へ「妬み」を吐き出すあさましい人たち」(現在は非公開)が炎上します。同日、Yahoo! ニュースが誹謗中傷は控えるべきとの緊急声明を発表しました。

魚拓(眞子さま、小室圭さん結婚へ「妬み」を吐き出すあさましい人たち)

ユーザーのみなさまへのお願い ―コメントの投稿にあたって―(Yahoo! ニュース)

最終的に私の記事を含める数本が非公開となりました。数時間で400万PVを超え、コメントは一気に2万件に達します。私の職場や発信サイト、客員研究員として所属している明治大学には脅迫状が届きました。脅迫を寄せてきたすべてのアカウントは、無記名かハンドルネーム、もしくはヤフーメールではないほかのフリーメールでした。

いくつかある問題のなかで、最も注視したのが「天皇陛下が裁可した結婚を撤回できるのか」という論点です。過去に婚約の裁可が取り消された事例はありますが、80年以上遡ります。現皇室典範には定められていないものの、裁可された以上は、撤回は難しいものと考えました。

「裁可」を公表した後、上皇陛下は退位されました。よって、今上陛下は上皇陛下の裁可を取り消すことができません。上皇陛下はすでに退位されていますから、過去に裁可したみことのりに触れることはありません。

気にしないではすまされない誹謗中傷

私は、誹謗中傷コメントを拾って画面キャプチャーに保存していました。「殺せ」「死ね」「バカ」といった表現は、ヤフコメであったとしてもアウトです。被害がさらに大きくなり、身の危険を感じたことから、すぐに動けるように弁護士に依頼をしていました。

非公開になった影響で被害を被りましたが、幸いにも想定内に収まりました。やはり証拠の確保と準備は必要でしょう。速やかに中野警察署に被害届を提出しました。

その後、支持する人からお手紙をいただきました。特定記録郵便として送られてきたものです。「突然記事が読めなくなり身を案じていること」「主張を全面的に支持する旨」が書かれていました。ほかにも、ブログ経由で温かいメッセージもいただきました。

誹謗中傷に巻き込まれたら

もし、皆さまが誹謗中傷と炎上に巻き込まれたらどうすればいいでしょうか。世論を巻き込んだ場合は「炎上」にあたりますが、一般人の発言が世論を巻き込むことは考えられません。本来は無縁の世界ですが、巻き込まれたらどうしたらいいのでしょうか。

大手ニュースサイトでは、数百万PVを稼ぐような記事があります。しかし、これは瞬間的にリーチしたに過ぎません。つまり、執筆者が認知徹底されたわけではありません。たとえ読まれたとしても、大半の人が翌日には忘れていることでしょう。

炎上を気にしたり過剰な期待をしたりするのは無意味だということです。PVを稼ぐ人は大勢いますが、継続性が無い限り記憶には残りません。平静を保っていればいいのです。

尾藤 克之(コラムニスト・著述家)

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