浜松・天竜に花桃を愛でに行ったら月まで3kmの場所にたどり着いた話

ミヤコ カエデ

家でNHKを見ながら夕食を食べていたら、「浜松市天竜区で花桃がみごろ」というニュースをやっていました。地図を見てみると天竜区には「花桃の里」という道の駅があるらしいではありませんか。

花桃は隣の長野県阿智村が有名なんですが、この地方でも見ることができるのか。

【長野・阿智村】桜の次は「花桃の里」が見頃! 日本一の桃源郷へ

【長野・阿智村】桜の次は「花桃の里」が見頃! 日本一の桃源郷へ ※2024年3月更新|旅色LIKES
「日本一の星空」で有名な長野・阿智村は、「花桃」の名所としても人気のようです。5月中旬ごろまで楽しむことができる景色を、旅色LIKESライター・みっちゃんが紹介します。

※ 阿智村の今年の花桃まつりは土砂崩れのため中止となったようです。

週末は特に予定もないし、近場だから行ってみることにするか、と思い立ちドライブに出かけることにしました。近場といいましたが静岡市から目的地までは80km。下道でいくと途中何度も生活道路の中を走らなければならず所要時間2時間。意外に時間がかかりました。

天竜川沿いにある道の駅「花桃の里」に到着。山間にありこぢんまりとした道の駅です。地元でとれた野菜や天竜茶などを販売しています。食事もとれるのですが私が到着したのは9時前。昼食どころは11時からの営業です。

この日はどんよりした曇り空でしたが、天気が良ければ天竜川を望むオープンスペースは景色もよくて絶好の休憩ポイントになると思います。

さて、お目当ての花桃は道の駅の裏手の方に。見ごろと聞いていましたがちょっと見ごろは過ぎている感がありました。

ただこれまで花桃を見に行ったことはなかったので花桃の先終わりに濃いピンクの花をぎりぎり愛でることができたのはよかったと思いました。

花桃の道は、さっき道の駅のオープンスペースから見た橋に続いています。

「夢のかけ橋」と名付けられたこの橋は遠州の大河、天竜川にかかり向こう側の集落に渡ることができます。

滔々と流れる天竜川の景色を堪能したあと、再び花桃の咲く小径に戻ります。ところでこの小径、ちょっと小高くなっているうえ、道幅からもあるものを連想させます。

そう、それは鉄道路線。ここは国鉄佐久間線の線路用地として整備が進められていた場所。花桃の小径は線路が通るはずだった場所であり、「夢のかけ橋」は鉄道がとおるはずの橋でした。

まっぷるガイドより。

国鉄佐久間線は国鉄二俣線遠江二俣駅(現天竜浜名湖鉄道天竜二俣駅)と国鉄飯田線中部天竜駅(現JR東海中部天竜駅)を結ぶ路線として計画され、遠江二俣から遠江横山駅までの区間は実際に工事が進んでいました。ところが昭和55年、国鉄再建法が成立すると工事は中断、その後工事は再開されることなく佐久間線の開通は幻と消えてしまいます。

鉄道が走ることはなかった鉄道用地ですが、相津(そうづ)駅ができる予定だった場所に道の駅「花桃の里」が、天竜川を渡るために造られた橋脚の上には人道橋である「夢のかけ橋」が作られ観光資源として活用されています。

花桃の小径の延長線上にはこんな謎の施設があります。こちらも国鉄佐久間線の建設跡。そういわれるといかにも、といった感じがしますね。

ここは浜松ワインセラーと呼ばれる施設になっていて、トンネルをワインセラーとして活用しています。のと鉄道の廃線跡でも日本酒の酒蔵が酒の保管庫として活用していました。トンネルは年中温度が一定であまり変わらないのでお酒の保管に適しているそうです。

見学したいと思ったんですが11:00オープン。1時間以上待たないといけなかったので断念しました。時間調べてこればよかった…。花桃を楽しみに行くはずが思いのほか鉄道未成線に出会うことができ、心弾みました。できればここで活躍する鉄道を見てみたかったですね。

さて、道の駅から国道を南下して天竜二俣駅方向に戻りますが、少し行ったところで小さな集落に向かう県道が枝分かれしています。そこに掲げられた案内板の地名を見てびっくり。

月!

月まであと3キロ。月って天竜から意外と近いんですね。

そして道路を進めば「月」についてしまうという。。。知る人ぞ知る有名な地理ネタです。ここで記念写真を撮る人も大勢いる場所です。まるで宇宙旅行しているような気分ですよね。

ちなみに最初に載せた地図にも「月」載ってますよ。気付きましたか?
先ほどの「月3km」の看板は矢印の箇所にあります。

「月3km」道路標識の看板の近くにはバス停があります。バス停の名は「伊砂」。月地区の手前にある地区の名前です。「月入口」とかだったらもっと注目を浴びたんですがね…。ちなみに「伊砂」、「いすな」ではなく「いすか」と呼びます。いすか、いすか…イスカンダル。

天竜はどこまでも宇宙を感じさせる場所でした。思えば天竜も「天」が入ってますもんね。


編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2024年3月27日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。