北米の株式市場が今一つパッとしていません。ダウが39000ドル台を付けたのが2月22日。それから6週間たちますが、4万ドルが壁になっています。チャートではW天井にも見えますが、見なかったふりをします。ナスダックの場合はもっと緩慢で2月9日に16000㌦を抜けた後、16400㌦程度に留まっています。日経平均は3月4日に4万円を突破した後、狭い範囲のもみ合いが続いています。4月1日の日経平均は566円も下げましたが、かつては4月1日は新年度入りでご祝儀相場でもあったことを考えるとこれは嫌な下げだったのですが、そのように評した株式コメントはあまり見受けられませんでした。
株式市場は北米でも日本でもまっすぐ右肩上がりになることはなく、うねりながら時間をかけてトレンドを形成していきます。個人的には日経平均はもう少し上がる余地があると思いますが、材料不足がぬぐえないことは確かです。
一方、日経平均が下げた日の相場の主役は仕手性の強いものや材料株が暴騰しており、個人投資家が復活しつつある様相は見て取れます。そのような銘柄が動くのは悪い兆候ではなく、プライム市場の銘柄が日柄整理をしている間の「幕間つなぎ」だと認識しています。
ところで日本ではゴルフ会員権が値上がりしていると報じられています。会員権相場は2019年12月を100とすると23年12月で125.3となっているそうです。4年間で25%、しかもコロナでゴルフ場が密にならないという見方から一時注目されたことを考えれば25%の上昇は特に違和感はありませんが、バブルの頃のような値上がりは100%ないと断言してよいでしょう。
バブル当時は猫も杓子もゴルフ、駅で電車を待つお父さんはこうもり傘をクラブに見立ててホームで練習しているシーンはバブルの象徴の一枚とされます。しかし、趣味の領域は増え、ゴルフのように時間と移動費を含めたコストがかかるレジャーが昔のように持てはやされることはないでしょう。ちなみに北米ではテニスを小さくしたようなピックルボールが確実な人気でさほど運動神経がよくなくても夫婦で楽しめるとして話題になっています。
値上がりを期待できるものとして絵画と高級腕時計はあくまでも趣味の領域として私はあり得ると思います。ただ絵画は取引市場が非常に狭いのとその客観的価値の査定が難しいところが一般の方には難点かもしれません。この絵が100万円でこちらが1千万円と言われても少なくとも私には10倍の違いを感じるのは難しく、絶対的感性を持った方たちの特殊な世界なのでしょう。思い出すのが秘書をしていた時、会長の応接室にあったツボ。会長が台湾で購入した高価なツボがどうも怪しいと思った社長室長が鑑定士をこっそり呼んでみてもらったら実は贋作でありました。だけどそれを贋作だと会長に誰も進言することなく、会長も幸せにお亡くなりになりました。
投資は世界どこでも誰でも同じような価値基準があるものが売買のボリュームもあり手掛けやすいと思います。例えばビットコインは値上がりすると思いますが、一般の方に根付くまでにはもう少し時間がかかりそうです。一方、太古の時代から愛されてきた金は絶対的信頼感と世界の中央銀行がこぞって欲しがる点において「金利や配当がつかない」という発想は論外のアプローチです。先日も申し上げたように絶対量に限界があるものは価値が出るのは確実です。今、再び金相場がむっくり起き上がってきているのはしばし話題の中心となっておらず、相場に出遅れ感が強いこともあるでしょう。そして世界の不和に最も強いのが金であることも事実です。
最後にあげたいのが不動産。これも世界の誰もが欲しがる価値ある財産です。私もデベロッパーという仕事をする中で当地に於いて土地の価値が確実に上昇し、住宅建築が追い付かない現状を見る限り少なくとも今後3-5年間で20-30%程度の上昇があるとみています。特にこの数年、金利上昇で買い替えや新規購入を控え、我慢していた層が利下げのタイミングを見てよい不動産から飛ぶように売れるようになるのは確実でしょう。ただ、こちらは1億円あっても大したものは買えない、これが現状であり、格差社会の象徴なのかもしれません。
世の中、ぼろい儲け話はなく、あっても多額の資金がいるなどの条件があります。ビットコイン狂騒曲はある意味、若者がスマホで買える射幸心を煽ったともいえるでしょう。そんなに簡単に儲けられたら皆さん、仕事をしなくなるのでほどほどが良いのだと思います。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年4月2日の記事より転載させていただきました。