サザエさん全面推しの東京・桜新町をぶらり

3月30日 神田川界隈。

3月末、東京はまだ桜が開花したばかりでまだほとんど花を見ることができませんでした。花はまだだけどこうなったら意地でも桜を見たい。

そんなわたしがやってきたのは桜新町でした。ここならいつでも「桜」があります。…と、少々強引でしたがふらっと訪ねた桜新町。世田谷区田園都市線沿線にあるこの町は、ある国民的アニメで町おこしをしている地域です。

そう、それはサザエさん。街のいたるところでサザエさん一家を見ることができるサザエさん一色の街です。

サザエさんとタラちゃんの銅像の反対側の歩道には波平さんやカツオたちが並びます。

いっとき、この波平さんの毛が何度も抜かれる被害に遭っているという報道がされたことがありました。今日はちゃんと毛があります。波平さんのなけなしの毛です。絶対に抜かないようにしてください。髪の毛は命です。

このフォルムで誰かがわかる。存在感抜群のキャラクター。

この街がサザエさんで町おこしをしているのは、サザエさんの作者・長谷川町子さんがこの町に住んでいたから。今もこの街には同氏の作品を展示する長谷川町子美術館が建てられており多くのサザエさんファンが訪れています。

田園都市線が走る旧大山街道を南に折れるとここが「サザエさん通り」。飲食店や商店などが並ぶ活気ある商店街です。買い物しようと町まででっかっけたらー♪


通りのあちこちにサザエさん。この町がいかにサザエさんを推しているかがわかります。

サザエさん通りの行く先にあるのが長谷川町子記念館と長谷川町子美術館。GoogleMapsで見たら「開館」と書かれていたのに来てみたら展示入れ替えのため休館中でした。残念。開館していれば、サザエさん通りで気分を高めて記念館で長谷川町子の世界を堪能するより楽しい散歩になったことでしょう。

サザエさんはこんなところにもいました。芸が細かい。

ところで長谷川町子記念館まで行く途中、サザエさん通りは二手に分かれていました。直角の交差点ではなくY字に分かれる特徴的な交差点です。

ここは大正初期、日本信託という会社が関東初の郊外型住宅地としてのうちを買収して開発を進めた場所であり、そのモデルが西洋の街であったことからこのような道路の造りとなったそうです。このころは建物も洋風の建築が流行して多くの精洋風建築が建てられた時期。街づくりにも西洋へのあこがれが現れており、今もその名残が残されています。

ちなみにこのY字路にもサザエさんが立っていて「長谷川町子記念館はこっちですよ!」と案内してくれています。

最後に桜新町駅の東側にある神社を訪ねることにします。その名も「桜神宮」。私見ですが、もともと新町という地名だったこの町の一部が桜新町と名乗ることになったのはこの神社があったからなのかもしれません。

明治時代に教派神道十三派の一派として神田に建てられましたが、大正8年に神託を受けて西に移転。その直後に関東大震災があったもののこの地に大きな被害がなく難を逃れたことから災難除けの神として崇敬されています。第二次世界大戦でも戦禍から逃れることができました。


ここの御朱印はデザイン性が高いことで有名だそう。御朱印コレクターの方が列をなして待っていました。中央の参詣道は空いています。ここの神社は二礼四拍手一礼。拍手が一般的な神社よりも多いのも特徴的です。

【桜新町】桜でいっぱいの神社「桜神宮」で御朱印授受と縁結び祈願|るるぶ&more.
東京・桜新町に鎮座する「桜神宮」。毎月替わる御朱印や限定で頒布される御朱印は、そのデザインがかわいいと御朱印ガールの間で人気です。縁結びの神様としても有名な神社なので、参拝時には、恋愛、人間関係、仕事などさまざまな良縁も祈願してみましょう。

↑ わたしは御朱印集めないので… こちらをどうぞ。

歩いていたらお腹が空いたので、桜新町駅南口ウエのLa Saluteさんへ。

ビザ・パスタなどを扱うイタリアレストランです。少人数で経営されているようで、予約がないと入りにくいようですがたまたま1席空いていては入れました、ラッキー。

パスタの種類も選べるボンゴレビアンコ。スパゲッティより少し細い麺、フェデリーニでいただきました。美味。

サザエさんを全面的に押し出して街を活性化させている桜新町。街の開発のコンセプトやその名残も垣間見られていい散歩になりました。長谷川町子記念館・美術館が見られなかったのが心残りです。次は桜新町駅からサザエさん通りを歩いて同記念館・美術館まで観覧して長谷川町子ワールドをコンプリートしに行きたいと思います。


編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2024年4月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。