「タイ移住で~」「マレーシア移住で~」と題して、フリーランスで仕事をしている人がタイやマレーシアに移住することで税金をゼロにすることも可能という記事を公開しました。
無税という刺激的な単語を使ったためか、多くのコメントを頂きましたので、コメントを紹介しつつ、返答していこうと思います。
【私の提案】タイ・マレーシアに居住しつつ、国外の法人で仕事をすれば無税!
海外移住してフリーランスの仕事を続ける場合、移住先の国に法人を作る人も多いでしょう。しかし、「移住先の国」と「仕事を受託する法人の国」を別々にするのが、私の提案のポイントです。
タイ・マレーシアに居住したうえで、タイ・マレーシアの国外、たとえば、香港や英領バージン諸島(BVI)に法人を設立、その法人で仕事を受託するのです。
【コメント】183日ルールやPE認定などがあり、簡単ではない!
183日ルールやPE認定の問題があり、税務署は簡単にこのスキームを認めないのでは?
【回答】
たしかに、居住国(タイ・マレーシアなど)の滞在日数が少なく、日本に183日以上滞在しているならば、税務当局は日本居住者と判断し、節税はできないでしょう。また、居住国外の法人(香港法人など)が日本にオフィスなど恒久的施設(PE)を持っていたら、日本で事業を行っていると判断されて納税義務が生じるでしょう。
ただ、気を付けて体制作りをすれば、これらの問題は回避できます。
【コメント】日本に住みながらでも可能では?
香港法人の税率が8.25%、BVI法人の税率が0%ならば、日本に住みながら香港やBVIの法人を使って仕事をしても、節税できるのでは?
【回答】
日本住んでいる人が、香港やBVIのようなタックスヘイブンにペーパーカンパニーを持ち、その法人が所得を得ていたら、いわゆるタックスヘイブン税制が適用されて、日本で追加の納税を迫られます。ですから、「日本に住みながら、香港法人・BVI法人で仕事をして節税」という作戦は不可能です。
そうすると、「日本居住では不可能な節税が、タイ・マレーシア居住だと、なぜ可能になるのですか?」と聞きたくなるでしょう。
タイ・マレーシアには、タックスヘイブン税制が無いため、国外のタックスヘイブンを使えるからというのが答です。日本人フリーランスに限らず、タイ・マレーシアの富裕層は外国法人を使って大胆な節税が可能なのです。
【コメント】香港は自由を失い、チャイナリスクが大きい!
中国共産党が香港支配を強め、香港人も海外へ逃げている中、日本人がわざわざ香港を使う必要はないのでは?
【回答】
たしかに、香港には、他国(英国、オーストラリアなど)のパスポートやビザを持っている人が多いです。ですから、「日本人がわざわざ香港法人を使う必要はない!」という気持ちも分かります。
ただ、法人の設立しやすさ(現地在住の株主・取締役が不要であるなど)、銀行口座の開設しやすさ、金融機関の信頼性などの点で、今なお香港法人は便利です。
また、香港では民主主義や報道の自由などへの制限は強まっているものの、ビジネスや投資の分野では自由が維持されていますから、香港法人の使い勝手は損なわれていません。
私自身、2018年に香港で起業して今は東京常駐ですが、日本法人やシンガポール法人を経営しつつも、香港法人も引き続き経営しています。
【コメント】国外の法人に収入が入っても、オーナー個人はどうやって生活する?
タイ・マレーシアに居住しながら香港法人名義で仕事を受注していたら、香港法人にお金が入っても個人にはお金が無く、居住地でお金を使えないのでは?
とくに、タイ居住者の場合、2024年からタイ国外で得た所得に対しても課税されるようになったので、難しいのでは?
【回答】
タイ・マレーシアでの支出のうち、香港法人の経費として認められる支出もあるでしょう。香港法人の口座から引き落とせるクレジットカード・デビットカードを作っておくと、簡単に支払できて便利です。
ただ、香港法人の経費と言えない支払のため、個人にお金を移す必要もあるでしょう。それらは、香港法人から個人へ配当の形で可能です。
さて、タイでは国外所得も納税されるようになったという点ですが、タイ国外で納税済みの所得は、タイに持ち込んでも再度課税されることはありません。日本国内で納税済みの所得をタイに持ち込むのが良いでしょう。
【コメント】普通のフリーランスには、この節税スキームは意味がない
東京とタイ・マレーシアのタワマンを比較して、タイ・マレーシアは安いと言われても困ります。フリーランスで東京のタワマンに住んでいる人は多くないでしょう。この節税スキームが当てはまるのは1億円以上稼げるような一部の人だけでは?
【回答】
たしかに、移住することで節税できても支出がそれ以上に増えてしまったら、意味はないでしょう。
しかし、バンコクやクアラルンプールにあるタワマンは高くありません。建物の新しさや広さによりますが、家賃10万円程度からあるので、東京の普通のアパートと比べても安いと思います。
食事も、毎晩、日本料理屋や居酒屋で外食していれば出費がかさむでしょうが、ローカルフードや自炊を組み合わせれば、東京と比べても安く済みます。私は、クアラルンプールのチャイナタウンで朝食を取りながらこの記事を書いていますが、美味しく安くて満足です。
さらに根本的な話をします。バリバリ仕事をしているフリーランスには、金銭的余裕が無いはずがありません。
フリーランスを束ねて業務受託をしているStock Sun株式会社によると、同社運営のサロンに所属しているフリーランスは、年間売上1000万円以上が全体の16.6%、年間売上3000万円以上も6.7%とのことです。
年間600万円くらいの年間売上の方であれば海外移住のメリットが十分ありますが、年間1000万円を超える方であれば、なおのこと節税効果は大きいでしょう。
海外でお得なフリーランス生活を、是非、楽しんで欲しいです。