最愛シェフの一人、ピエール・ガニエール(ガニェール)の料理は、いつだって感動と驚異に満ち溢れてる♪
映画”La passion de Dodin Bouffant”(直訳「ドダン・ブファンの情熱」、邦題「ポトフ 美食家と料理人」)の料理監修&製作を担当したピエール。(出演もした。)観ていないけれど、食いしん坊知人たちは、最初の20分間の食シーンだけでも価値がある、と。
映画の料理ルセットはピエールが考案し、彼のスーパー右腕が撮影中ずっと現場に常駐し、作った料理は全てきちんと味付けした本物料理だったそう。出演者たち、カットがかかるたびに料理に手を伸ばしたでしょうね(笑)。
公開中、ヴォロヴァンやレタスフォアグラ、ポトフなどからなる”ドダン・ブファンの情熱”コースを提供していて興味津々だけど、ランチのみ。昔、ヤニック・アレノが「ル・ムーリス」で披露したドダン・ブファンに捧げた素晴らしいコースを思い出す。あれと比べてみたかった。
今宵は、チュベール・メラノスポルム三昧🖤
リシュランシュのマルシェからやってきた、存在感&香り抜群の極上黒トリュフ。
ビルカール=サルモンのロゼで乾杯し、5~6種のアペリティフアミューズと、ほぼほぼ一食分あるアミューズ群をいただいたのち(この時点で、お腹はそれなりに満足)・・・
前菜は、リシュランシュのトリュフを、80ヶ月熟成パルメザンのスフレや、カリフラワーアイスクリーム&白肉のジュ、ミュスカのジュレ&オリーヴオイルジヴレ&セロリの三変化で。
知人が頼んだ黒トリュフ&野菜パイ、黒トリュフ&ホタテも素晴らしく、みんなで旬のメラノスポルムを堪能。
プロヴァンス地方リシュランシュのマルシェに出る黒トリュフが最高、と言われている。一度、ここのトリュフマルシェを取材したことがある。キンと冷え切った空気の中、次から次へと汚れた車が集まってきて、トランク開けると黒いダイヤモンドがぎっしり。屋台には大小様々のトリュフが山積みされて、すごい香り。
取り引きの雰囲気は想像より普通だったけれど、早朝だと怪しい感じなのかもね。朝ごはんもお昼ごはんも、当然のようにトリュフオムレツ。トリュフ狩りは、仔豚ではなく犬だった。また行きたいな、リシュランシュ。
ルシアン・ル=モワヌのコルトン=シャルルマーニュ13の芳醇で腰の強い味わいとピッタリ。そういえば、秋にきた時もこのドメーヌの、あの時はムルソー プルミエクリュ”ペリエール”10を頼んでとてもよかった。
主菜は、ラングスティヌ。
甘草香らせたブールブラン&フダンソウ&ビールムース(鬼才と言われるピエールの、真髄はクラシックというのをしみじみ感じる)、ごく軽い火入胡椒&イラクサ風味、天ぷら仕立て苦いソース、蒸し焼き、茶碗蒸し仕立て、ゆずクリーム風味の生、など七変化で、最愛の海老を堪能。
デセールは、黒トリュフ&マロン&黒キイチゴ&黒オリーヴのモンブラン。
今宵のトリュフ&色々食材、全てうっとりのなか、やっぱりよい組み合わせだなぁとしみじみ思ったのは、甘みをつけた黒オリーヴとの相性。この黒いコンビ、相性よいよね。
普通のデセールは料理同様5~6変化だけど、これは一皿仕立て。はち切れそうなお腹にありがたい。
不思議で独創的、なのにあくまで真の通ったおいしさが宿る、ピエール・ガニエールのクリエーション。来るたびに、ワクワクと感服に満たされる。同じ時代に生きられてよかった、としみじみ思う巨匠料理人の一人。
個室含めて満員御礼。いつもながら、ピエール・ガニエールという感動を求めて食いしん坊が集ってる。
本当は今夜は、ロイヤル・コンセルトヘボウ・オーケストラの演奏会の予定だった。個人的世界三大オーケストラ(しかもブルックナー7番)でとても楽しみにしていたけれど、ピエール・ガニエールの魅力の前ではね、、。後ろ髪引かれながら、チケット譲った。来シーズンはちゃんと聴けますよう。
・2023年9月の様子はこちらです。
・2022年12月の様子はこちらです。
・2022年10月の様子はこちら
編集部より:この記事は加納雪乃さんのブログ「パリのおいしい日々5」2024年1月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「パリのおいしい日々5」をご覧ください。