やるべき仕事をやるには1日を2時間単位で区切ろう(滝川 徹)

maroke/iStock

仕事をはじめる前に仕事の計画を立てたほうがよい。そう頭ではわかっていても、具体的にどうやって計画を作っていいかわからない。だから計画を作れない。そう悩む人も多いのではないだろうか。

仕事の計画は2時間単位で区切って考えるとうまくいく。そう語るのは時短コンサルタントの滝川徹氏。今回は、滝川氏の著書『細分化して片付ける30分仕事術(パンローリング) 』より仕事の計画の作り方について、再構成してお届けします。

タスク管理をはじめる前の私は、いつも仕事に流されていた。メールを受信すれば、すぐさま用件をチェックし返信した。取引先から電話がかかってくれば応対し、依頼された仕事にすぐとりかかった。上司や部下から仕事を頼まれても同様だ。

そうして降ってくる仕事に場当たり的に反応して仕事をしていたので、本来自分が取り組まなければいけない仕事にいつまで経っても手をつけることができなかった。

朝の時点で「今日はこの仕事に取り組もう」と思って手をつける。しかし降ってくる仕事に手を止め、気づけば取り組もうと思っていた作業は追いやられたまま、1日がほぼ終わってしまう。

そうして締め切りギリギリになった仕事を、ケツに火がついた状態で残業しながら必死に片付ける。これがいつものパターンになってしまっていた。こんな経験は誰にでもあることだろう。だからこそこの本をはじめ時間管理の書籍が多数出版されてきたのだ。

ではどうすれば降ってくる仕事に流されず、主体的に仕事をこなしていけるようになるのか。この問いへの答えの鍵は「予定(スケジュール)しておくこと」にある。予定されたスケジュールは実行される可能性が高いからだ。

たとえば今日の15時から会社で重要な会議があるとする。君は余程のことがない限り、会議に時間通り出席するはずだ。たとえ14時50分に取引先から電話がかかってきても「これから予定があるので後でかけ直します」と伝えるだろう。

あるいはそもそも電話がかかってこないように14時30分くらいからスマホを機内モードにしているかもしれない。そう、人は予定しているとその予定を中心に行動するようになる。逆に言えば、予定していないことは実行されないのだ。

ライフスタイルデザインで知られるアメリカのベストセラー作家ティモシー・フェリスも、2020年に配信したYouTube動画でこのことを話している。

彼は「どうすれば君(ティム)のように、たくさんの仕事をこなしながら創作活動や自分自身をふりかえる内省の時間までバランスよくこなせるようになる?」という趣旨の質問に対し「バランスは見つからない。なぜなら自らスケジュールしなければならないからだ」と語った。

例として彼は、仕事を効率的にこなすために1週間のうち月曜日の予定をブロック(あらかじめ確保する)して、動画を録画、従業員と電話で通話、事務処理といった作業に充てていると話した。またブログを書く日は午前中あるいは昼食前に、あらかじめ執筆する時間を予定・確保すると言う。

彼は「カレンダーに予定しなければ実行されない。物事もうまく進まなくなるし、重要なことに手をつけられなくなる。そして僕はそのツケを払わされることになる」と語る。カレンダーに予定することがバランスよくやりたいことを行うための「(自身にとっての)唯一の手段」と説いた。

取り組みたいと思う仕事を確実に実行する秘訣。それは彼が言うように予定しておくこと。すなわち、あらかじめスケジュールしておくことなのだ。

派生する仕事に流されず、主体的に業務をこなすために必要なのはスケジュールすること。このことがわかったら、次に問題になるのは「どうやって仕事のスケジュールを立てるか」だ。

1日を2時間毎に区切る「セクション」を作る

タスクリスト(≒スケジュール)を作る際に最初に意識してほしいこと。それは1日を一定時間毎に区切る意識を持つことだ。

たとえば私の場合、仕事をしている時間を次のように2時間毎に区切って考えるようにしている。ちなみにタスク管理界隈ではこうした区切りは「セクション」と呼ばれる。

・セクションA:7時〜9時
・セクションB:9時〜11時
・セクションC:11時〜13時
・セクションD:13時〜15時
・セクションE:15時〜17時
・セクションF:17時〜19時

セクションを作るメリットは、タスクリストが作りやすくなることだ。実際にタスクリストを作る流れを説明しながら、このことを説明しよう。

エクセルでタスクリストを作る場合、まず【図】のようにセクション・区切りを作る。

たとえば今日取り組まなければいけない2つのタスクがあるとする。

①新しい企画を考える(頭を使う難しいタスク)
②経費精算(簡単なタスク)

どのタスクをどのセクションに取り組むべきか、認知リソース(いわゆる「意思力」のような概念)の基準をもとに割り振ろう。

①の「新しい企画を考える」は、どのセクションに入れるべきか。このタスクは頭を使う作業となるので、認知リソースを多く使いそうだ。それならば早い時間帯のセクションA(7〜9時)やセクションB(9〜11時)に取り組んだほうが、疲れがたまってくる夕方よりずっと効率がいいし先送りも防げるだろう。それならひとまずセクションAに割り振ろう。こんな感じでセクションを決めていく。

では②の経費精算はどこがよいか。この作業は認知リソースをあまり使わなそうだ。セクションAやBは認知リソースを多く使う①のようなタスクのために確保しておきたい。なので私なら②の経費精算はセクションE(15〜17時)以降に取り組もうと考える。

このようにタスクリストを作るということは、今日やらなければいけないタスクをそれぞれが適したセクションに割り当てていく作業と言える。先程の例で見た通り、認知リソースという軸を使えばパズル感覚でどのタスクをどのセクションに取り組むか考えられるようになる。

もし今日やらなければいけないタスクが20個あったとしたら、まっさらなエクセルシートを使って1日のタスクリストを作るのは簡単ではない。しかしセクションがあれば、タスクリストは簡単に作れるようになる。

ちなみにセクションは必ずしも2時間で区切らなければいけないわけではない。また、A〜Fまでの6つしか作ってはいけないわけでもない。セクションを作る目的は、タスクリストを作りやすくするためだ。

なので3時間毎に区切ってもいいし、セクションも必要に応じて増やしてもらってかまわない。もちろん7~9時は業務外ということであれば、9時スタートでも問題ない。

ただしまずは2時間で区切ることからはじめてみてほしい。ひとつのセクションの時間が長すぎるとセクションを作る意味が薄れるからだ。タスクリストを作ることに慣れてきたら、必要に応じて自分の好みに合わせるのがオススメだ。

滝川 徹(タスク管理の専門家)
1982年東京生まれ。慶應義塾大学卒業後、内資トップの大手金融機関に勤務。長時間労働に悩んだことをきっかけに独学でタスク管理を習得。2014年に自身が所属する組織の残業を削減した取り組みが全国で表彰される。2016年には「残業ゼロ」の働き方を達成。その体験を出版した『気持ちが楽になる働き方 33歳大企業サラリーマン、長時間労働をやめる。』(金風舎)はAmazon1位2部門を獲得。2018年に順天堂大学で講演を行うなど、現在は講演やセミナー活動を中心に個人事業主としても活動している。 

【関連記事】

あなたの仕事が終わらないのは「見えない時間」を考慮に入れていないから滝川徹  時短コンサルタント)
仕事の先延ばしグセは時間帯を見直すことで回避できる(滝川徹 時短コンサルタント)
リマインダーの効果をあなどるなかれ。集中力爆上がりの活用法とは(滝川徹  時短コンサルタント)
AIに仕事を奪われる時代でも人間に残る、ある貴重なスキルとは滝川徹  時短コンサルタント)
先延ばしグセを辞めたいなら、村上春樹のように仕事に取り組め(滝川徹  時短コンサルタント)


編集部より:この記事は「シェアーズカフェ・オンライン」2024年4月19日のエントリーより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はシェアーズカフェ・オンラインをご覧ください。