仕事に集中している時に上司やクライアントから案件の進捗確認の連絡が入り、中断を余儀なくされる。これは相手の事情だから仕方ない。そう考える人も多いだろう。しかし実は、事前に手を打っておくことでこうした問い合わせはなくすことができる。
そう語るのは現役会社員・時短コンサルタントの滝川徹氏。今回は、滝川氏の著書『細分化して片付ける30分仕事術(パンローリング) 』より、他者からの問い合わせによる中断をなくす秘訣を、再構成してお届けします。
3Wを明確にする
上司やクライアントとともに仕事を進める以上、状況は共通認識させておく必要がある。でなければ問い合わせ連絡などが増え、それらに対応する必要も出てくるからだ。
そこで、それらを回避するために私が意識していることを紹介しよう。結論から言えば、仕事の見通しを必ず関係者に伝えることだ。具体的には、次の3つを明確にすること。
- 誰が〔WHO〕
- 何を〔WHAT〕
- いつまでに(するか)〔WHEN〕
たとえばレポートの作成をクライアントから依頼された場合。「私が/レポートを/1カ月後までに(作る)」とあらかじめ伝えておく。こうして今後の流れをお互い明確にしておけば、上司やクライアントが状況がわからず確認してくることはなくなる。
上司やクライアントが仕事の進捗を確認してくるのは、この3Wがハッキリしておらず状況がつかめないからだ。人は見通しがつくと安心できる。上司やクライアントからの確認を減らしたいなら、相手を安心させてあげることが大切だ。
また、自分は明確に相手に伝えたつもりでも共通認識がなされていないこともある。そこで会議の最後やメールなどで報告する際も、この3Wが明確になっているか自分でも意識しよう。
逆に言えば「私が/レポートを/1カ月後までに作る」と明確に伝えておけば、少なくとも仕事の進捗については「それまでは連絡してくるな」というメッセージを暗に伝えていることにもなる。
仕事全体のスケジュール感や全体像を共有する
「見通しを伝える」という観点では、仕事全体のスケジュール感や全体像を相手と共有することも重要だ。目的は先程と同じで相手の不安を払拭するためだ。
たとえばクライアントから1カ月後に何か新しい企画を経営会議で発表してほしいと依頼されたとする。今日が4月1日で会議が4月30日だとしよう。
私なら依頼された時点で「たとえば次のようなイメージで進めていこうと思うのですが、いかがですか?」と提案する(事例として3Wを明確にするために太字にした)。
- 4月7日までに私から企画のラフスケッチを提出します。そこで一度打ち合わせをしましょう。
- 打ち合わせをふまえ、4月17日までに私のほうで企画を本格的に仕上げ提出します。4月24日までにフィードバックをください。
- フィードバックをふまえ、4月27日までに私のほうから最終版を提出します。
こうして仕事の流れと全体像を説明したうえで、最後に「ではひとまず4月7日までに企画のラフスケッチをお送りしますね」と次のアクションを3W形式で明確すれば完璧だ。
相手は「4月7日まで何もせずに連絡を待ってればいいんだな」と安心できる。自分も4月7日までは相手からの確認のみの連絡を避けることができる。
相手の不安をどうやったら払拭できるか意識しよう
ここで伝えたいことは相手からの問い合わせを減らすために、あらかじめ相手の不安をどうやったら払拭できるか意識しようということだ。その手段として仕事の見通しを伝えることが有効であるとここでは書いてきた。
相手から連絡が来ればその対応に時間を奪われる。それを避けるために自分のコントロール下で不明点がないか相手に確認したり、FAQを用意しておくなどできることをイメージするようにしよう。
全ては割りこみタスク(=中断)をどうしたら減らせるのか。それが時間の創出につながるのだ。
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滝川 徹(タスク管理の専門家)
1982年東京生まれ。慶應義塾大学卒業後、内資トップの大手金融機関に勤務。長時間労働に悩んだことをきっかけに独学でタスク管理を習得。2014年に自身が所属する組織の残業を削減した取り組みが全国で表彰される。2016年には「残業ゼロ」の働き方を達成。その体験を出版した『気持ちが楽になる働き方 33歳大企業サラリーマン、長時間労働をやめる。』(金風舎)はAmazon1位2部門を獲得。2018年に順天堂大学で講演を行うなど、現在は講演やセミナー活動を中心に個人事業主としても活動している。
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編集部より:この記事は「シェアーズカフェ・オンライン」2024年4月26日のエントリーより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はシェアーズカフェ・オンラインをご覧ください。