効率を追求しても長時間労働からは抜け出せない(滝川 徹)

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長時間労働から抜け出すために仕事の効率を日々追求している人も多いだろう。しかし実は、効率を追求しても必ずしも働く時間が減るわけではない。

そう語るのは現役会社員・時短コンサルタントの滝川徹氏。今回は、滝川氏の著書『細分化して片付ける30分仕事術(パンローリング) 』より、働く時間をコントロールするために必要な考え方を、再構成してお届けします。

仕事と一定の距離を置く大切さ

近年はAIが話題だが、つい最近まではITの技術革新による仕事の効率化が話題だった。たとえば書類のやりとりも郵送からFAX、その後メールに変わった。それによりビジネスのスピードは驚くほど進化した。AIの登場によりこの傾向に拍車がかかるのは間違いない。

こうした時代に必要なのは「仕事と距離をおくこと」だと私は考えている。どういうことか。要するに、仕事にすぐ飛びつかないことが大切だということだ。理由は単純。ビジネスのスピードが上がれば上がるほど、どんどん仕事が入ってくるようになるからだ。

それに合わせて仕事をしていけば、どんなに一生懸命仕事をこなしても入ってくる量に負けて仕事は無限に増殖し続ける。そうするといつまでたっても仕事が終わらない。長時間労働を抜け出せなくなるだろう。

仕事を効率化しても働く時間が必ずしも減るわけではない

ではどうしたらいいのか。自分なりに一定のルールを作って、仕事と距離を置くことが必要なのだ。たとえば今日受けた仕事は明日以降取り組むと決める。あるいはたとえば、受けた仕事は原則1週間以内に終わらせればいい(=すぐに着手しない)と決める。

こうして仕事と距離をおけば、余裕を作り出すことができる。こうした「余白(=距離)」を意識的にもつようにしないと、仕事は無限に増え続ける。結果、どんなに一生懸命仕事をしても仕事が終わらないという悪循環に陥ることになる。意識を変えなければ、長時間労働のループから抜け出せないだろう。

誤解している人が多いが、仕事を効率化しても働く時間が必ずしも減るわけではない。先程も書いたが仕事は無限に増え続けるからだ。働く時間をコントロールしたいなら、むしろ大切なのは仕事と一定の距離を保つことだ。そうすることではじめて余裕を作り出すことができるようになる。

仕事の効率化ももちろん大切だ。しかし仕事と距離を置かなければ、どんなにタスク管理のスキルを高めても長時間労働は抜け出せない。このことは覚えておいてほしい。

滝川 徹(タスク管理の専門家)
1982年東京生まれ。慶應義塾大学卒業後、内資トップの大手金融機関に勤務。長時間労働に悩んだことをきっかけに独学でタスク管理を習得。2014年に自身が所属する組織の残業を削減した取り組みが全国で表彰される。2016年には「残業ゼロ」の働き方を達成。その体験を出版した『気持ちが楽になる働き方 33歳大企業サラリーマン、長時間労働をやめる。』(金風舎)はAmazon1位2部門を獲得。2018年に順天堂大学で講演を行うなど、現在は講演やセミナー活動を中心に個人事業主としても活動している。 

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編集部より:この記事は「シェアーズカフェ・オンライン」2024年4月30日のエントリーより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はシェアーズカフェ・オンラインをご覧ください。