資産の価値と価格が一致していれば投資は簡単だ

資産は、それが投資対象である限り、必ず現金を創出するものであり、逆に、現金を創出するものだけが投資対象としての資産である。資産を取得するためには、現金を投じる必要があり、故に、投資と呼ばれる。

資産は、将来に向かって、時間の経過とともに、現金を創出していくので、投資とは、現在の現金をもって、将来の現金と交換することになる。このとき、投じられる現在の現金と、将来において回収される現金とは、現在価値においては、等価であり、将来価値においては、投じられた現在の現金は増殖していて、その増分が投資の利益になるわけである。

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要は、数学的には、投資とは、現在の現金を将来の現金の現在価値と等価交換することであり、投資の期待収益率とは、将来の現金を現在価値に割引く金利になるわけである。ただし、等価とはいっても、不確実性を調整した後の等価である。

将来の確実な100の現金は、同じ時点の不確実な期待値としての100の現金よりも高い価値をもつから、将来の期待値にすぎない現金は、その不確実性の程度に応じて、現在価値において小さく評価されなくてはならない。つまり、数学的には、将来の現金は、不確実性が大きいほど、より高い金利を用いて現在価値に割引かれるわけで、その割引率が投資の期待収益率なのだから、この事態は俗にいうハイリスク、ハイリターンを意味する。

投資とは、第一に、資産の価値と一致した価格で資産を取得し、資産が内包する本源的収益、即ち、資産が生み出す将来の現金を享受することである。このとき、資産保有によって回収される現金の総額は、期待においては、取得に要した現金を上回るわけで、この期待に投資の本質は帰着する。

そして、資産が市場で取引されるとき、市場の参加者の平均的期待が常に価格に反映されているのならば、市場の効率性を前提にする限り、資産の価値と価格は常に一致しているはずである。逆に、資産の価値と価格の恒常的な一致を想定するものこそ、効率市場仮説にほかならない。

森本 紀行
HCアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長
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