欧州の富裕層の子供はガリガリ勉強しないというお話

日本では、Xやインスタで、タワマンを買って年収2000万、子供はSAPIXに通い、有名大学合格というのは勝ち組みたいな人がドヤ顔で登場しますが、しかし彼らは自分等がただの労働者階級だと全然意識していないので、非常に滑稽な感じがするのです。

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私の本『世界のニュースを日本人は何も知らない5』でも解説していますが、子供をガリガリお勉強させ何としても有名大学に入れようとするのは、他の先進国ではそういう「雇われないと生活できない」人々であり、「労働者階級」扱いなのです。

つまり資本家ではない。

彼らはそれを知っているので、子供のお勉強や学校名をドヤ顔で自慢しません。

自慢するのは途上国の移民上がりの成金です。

欧州もアメリカも特権階級や支配層の子供はガリガリ勉強なぞしないし、個人教授や私塾状態な教育を受けています。

お受験をすること自体が貧民なのです。

ようするに学歴がないと勝負にならないからです。支配層は資産があるから必要ないのです。

欧州の有名校には王侯貴族や各国の資産家の子供が教育を受けに来ます。英語で受けさせる場合はイギリス。フランス語もやらせたい場合はスイスやフランスです。ドイツにはあまり行きません。

彼らは子供用の凄い邸宅をポイっと買ったり、親や親類も通った特定校に来ます。クラスは超少人数で親どころか祖父母やその前の世代からお付き合いがあります。学校はスキーリゾートの近くにあったりします。親が授業参観などに来るついでに遊んで行くからです。

イギリスの学校には王族やらロシアの超富豪の子供が結構います。大学教員で身元や実績がそれなりな人は教育係に指名されます。お受験とは無縁な世界です。

アメリカやオーストラリアには勉強に行きません。元植民地なので格が下がるからです。

お勉強する分野も金儲けとは関係ありません。教養的なもの、芸術などを学び、社交のためのスポーツを学びます。

彼らは科学者も医者も弁護士も役人もただの使用人だから実学的なものは学びません。使用人を別に尊敬しません。ガリガリお受験やるのはご立派な使用人になる人々です。

音楽もガリガリやりません。あれはあくまで娯楽。適当にやります。元々ただの暇つぶしの見世物だったからです。

だから移民の親が鬼の形相で子供にピアノやらバイオリンを仕込むのを涼しい目で見ています。

イギリスにいる移民親達は、子供に年齢に合わない曲を無理やり練習させ、毎日毎日深夜まで練習とお勉強。ストレスで近視でメガネ率が高く、コミュ障で情緒や礼儀がめちゃくちゃなので、結局資産階級や支配階級の仲間に入れてもらえません。

社交する時間も金も知識もない。どのワインを頼めばよいかわからない。今やっている絵の展示会の話もできないからです。

移民や使用人階級はお勉強や習い事をやればやるほど貧困さを強調してしまうのです。技能を身につけ、曲芸の様に楽器を弾き、ペーパーテストで点を取り、医師や歯科医や法務専門家や技術者にならねば食べていけない。評価されるコネも地筋もないからです。

移民の子供らが勉強漬けで、好きでもない医療や法務の仕事をやる一方、コネや血筋がある子らは、移民の数分の一の努力で、自分の好きなことをやって気楽に暮らします。

酒を飲み、好きな服を着て、映画や音楽やコミックやアートの仕事をやり、旅行に行って好きな様に暮らす。仕事は遊びや趣味半分も多い。

メディア系や学術や芸術はそんな人だらけです。

移民の子らは好きなことを仕事にしている子らを、遠い世界にいる人々として、羨望の眼差しで眺めます。

ところで日本人は気がついていませんが、実は日本で生まれて日本で育つ日本人は、欧州で血縁やコネがある裕福な白人達の立ち位置に近いのです。

日本は国が安定しているから、移民を出す独裁国や貧困国に比べたら仕事の自由度ははるかに高く、経済が成熟しているから娯楽やアパレルや芸術も盛んで、国の規模が大きいので仕事があります。

階級の区分けがゆるいので、一流大学卒の人がその仕事が好きだからという理由で料理人になります。

製造業やサービス業でもなんとか食べて行けて、不動産は安いので公団にすまなくても済みます。地方だって生活レベルは悪くないから生活コストが安い。しかも酒も恋愛も自由です。

日本人は実はとても恵まれているのです。

日本ではお受験漬けで一流校に入ってもただのサラリーマンで、毎日上司の顔色をうかがわねばなりません。通勤があるので借金だらけでタワマン住まいになってしまいます。

高校中退でラーメン屋や自動車整備屋をやっている同級生の方が稼げていて生活の質が高かったりするのです。

実は豊かな日本ではお受験のコスパはあまりよくなかったりします。