お茶の国しずおか・茶の世界に浸る

新茶の季節になりました。今年はうるう年だったので5月1日が八十八夜。立春から数えて88日目にあたる日に摘んだ新茶を飲むと長生きできると言われています。私は緑茶よりコーヒー派でこれまであまり緑茶には興味はありませんでしたが、静岡は全国に名だたるお茶の産地。静岡の居酒屋では必ず置いている焼酎のお茶割りは「静岡割り」と呼ばれておりお茶に対する愛情は並々ならぬものがあります。今日は静岡の中でも特にお茶の生産が盛んな牧之原台地を訪ね、しばしお茶の世界に浸ってきました。

静岡市内から車で約1時間かけてやってきたのは島田市金谷地区にある「ふじのくに茶の都ミュージアム」。静岡をはじめ全国、世界のお茶に関する資料の展示や抹茶挽き体験、茶摘み体験など様々なお茶に関する体験ができる施設です。朝9時の開館と同時に来場者が集まり駐車場は満車になりました。さすが茶の国静岡、ミュージアムの人気の高さがうかがえます。

「荒畑園」HPより。

静岡県は県下全域でお茶づくりが盛んで全国のお茶の生産の4割を占めます。同じ県内であっても山岳部と沿岸部では気候も異なるためその地域ごとに製法が異なり味わいも異なります。今回訪ねた牧之原地区は牧之原台地と呼ばれる高台ですが、かつては大井川流域の河原でした。そのため田畑の工作には不向きである一方、水はけがいいことからお茶の生産が盛んになっていきました。

箱根は地理は馬でも越すが、越すに越されぬ大井川。

牧之原台地のお茶の生産が急拡大したのは明治初期。江戸時代、大井川を渡る人を運んできた川越人足(かわこしにんそく)が廃止となり職を失うと、彼らはこの地に茶畑の開墾を行い、お茶の生産を行うようになったのです。

お茶畑を一望できるオープンテラス。

ミュージアムの周囲は一面お茶畑です!

さて、抹茶挽き体験をしようと思ったのですがあいにく10:30ごろまで席が埋まってしまっていましたので、ワイングラスに注いでもらった静岡茶をオープンテラスで頂くことにしました。これも体験プログラムの一つ(200円)となっています。

画像 ルネッサーンス(古)

さわやかな5月の風に吹かれて、お茶畑を眺めながら頂く緑茶は格別です。そういえば静岡のどこのお茶なのか聞くの忘れました(汗)。

「チャ」はほぼ世界の共通語。

豪華な茶器の展示も。

展示室には世界のお茶、日本のお茶に関するさまざまな展示がされています。世界各地のお茶の茶葉の展示は匂いをかぐこともできます。アールグレイぐらい特徴的だと区別もできるんですが同じ緑茶同士だとなかなか…ですね。

茶壷って始めて見た気がします。

ずいずいずっころばしの「茶壷におわれて どっぴんしゃん」の意味は正直今も分かりません。

屋外では敷地内の茶畑で茶摘み体験が行われていました。一年の中で限られた時期にしかできない茶摘み体験。摘んだお茶は持ち帰ることができます。なかなかできない貴重な体験ですね。

屋外には日本庭園もありました。かつて京都にあった後水尾天皇が造営された仙洞御所の庭を再現したものなのだそう。京都では焼失後再現されませんでしたが、遠州が手掛けたということでここでの復活となりました。向こうの茶室は別料金で入室可能。庭園を眺めながらお茶を頂く、優雅なひとときを楽しむことができます。

ミュージアムショップもお茶が充実。

県営の施設で料金は300円。ちょっと展示があるくらいなのかな、と思っていたら思いのほか充実した施設で驚きでした。ミュージアムショップでのお土産物色を含めて2時間をここで過ごします。

ミュージアムを出て少し車を走らせば一面の茶畑広がります。茶所静岡ならではの絶景が右に左に広がる中を車を走らせる。爽快なドライブでした。

新茶は今の時期ですが夏でも青々とした茶畑の景色は変わらず牧之原台地に広がっています。是非一度静岡の茶の香りを楽しみつつ、茶畑の中をドライブして茶の国静岡に浸りに来てください。


編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2024年5月4日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。