年収2000万円は「勝ち組」ではなく「ただの労働者」?

年収2000万円は「勝ち組」ではなく「ただの労働者」

と書いている海外在住の日本人ブロガーの方がいました。SNSでマウンティングしている高所得者の方がどうも気に入らないようです。

給与所得者の中で、年収が1000万円を超えるのは全体の約5%と言われています。さらにその中で年収が2,000万円を超えている人の割合は、わずか0.6%しかいないそうです。つまり、約200人に1人しか年収2,000万円を超えられない。一般的には選ばれた「勝ち組」の人たちと言えるでしょう。

しかし、冷静に考えてみると、この方の主張にも一理あるかなと思い始めました。

もし、額面で年収2,000万円あったとしても、そこから源泉徴収されて、税引き後の手取りの給与は、毎月100万円程度です。

残りの手取りから更に持ち家なら住宅ローンを、賃貸住宅なら家賃を払わなければなりません。現金でマイホームを買える人や家賃を払わないで住める人は例外的です。

もし、東京の都心部でそれなりの賃貸マンションに住むとなれば、家賃が40万円程度はかかります。残りで生活費を捻出し、将来に向けた資産運用もしなければなりません。

少なくとも東京に住んでいれば、実感として経済的な豊かさを感じる事はあまりありません。

実際、私も10年以上前に会社勤務していた頃、年収が3000万円近いこともありました。家賃負担が無くても毎日の生活に豊かさを実感することはあまりありませんでした。

今から振り返って考えると、豊かさを実感できない理由は、経済的な問題だけではなく、時間の自由にあったように思います。

平日は朝からユニフォーム(スーツにネクタイ)を付けて出社して、ランチ以外は夜までは行動の自由はありません。こっそり昼からお酒を飲んだりすることもありましたが、常に束縛されている感覚は消えませんでした。

誰かに雇われて仕事をしている限り、いくら給与が高くても「労働者」です。

nunini/iStock

資産デザイン研究所を設立して良かったと思うのは、収入が増えたことより時間の使い方を自分で自由に決められること。そして意思決定も自分が思った通りにできることです。

私は労働者を否定するつもりは毛頭ありません。

大きな会社で責任ある地位に就いて、個人レベルでは出来ないスケールの大きな仕事をしてみたいというのも1つの選択肢だからです。

仕事が楽しくて仕方ないという労働者の人もたくさんいます。価値観は人それぞれです。

ただ、私のように人をマネージするのが苦手で束縛が嫌いなタイプは、組織で仕事をするのは向いていません。

そのことに気が付くのに48歳になるまで26年もかかってしまったことは、今から考えるとやはり勿体なかったなと感じてしまいます。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2024年5月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。