あぁ、認知症 自分もそうなるかもしれない意識を持とう

政府の推計によると2030年に日本の認知症の人は高齢者の14%に当たる523万人にも及ぶ可能性があると試算、発表しています。がんになる確率が約50%ですが、確率的に言えばどちらか(あるいは両方)になることは大いにあり得るといえます。では究極の二者選択といわれたらどうでしょうか?悩んでしまいますね。

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多くの方にとって認知症を患っている人が身近にいる方は割と少ない気がします。あるいは自分のご両親がそうであったとしても遠隔地に住んでいるなどの理由、あるいは自分の兄弟の誰かが面倒見てくれているからという理由であまり関知しない方もいるのではないでしょうか?

ただ、我々はすでに一人っ子世代となっており、親の面倒を見ざるを得なくなっています。つまり、片親なら子と一人ずつなので誰かに任せるという選択肢がほとんどなく、否が応でも自分で対応しなくてはいけません。

認知症は初期はわからないぐらいの状態で物忘れかな、という感じです。そもそもそのメカニズムからすると20年ぐらいかけてその素地ができていくので50代になった頃からその萌芽が始まるのです。認知症の親の面倒を見るのは正直情けなくなるぐらい大変になるのですが、もしかしたら自分もそうなることを想像してみてください。ゾッとするでしょう。

認知症の男女比が発表されています。80歳代の後半であれば男性の35%、女性の44%、95歳を過ぎると男性の51%、女性の84%が認知症であることが明らかにされています。(東京都健康長寿医療センター研究所より)。ではなぜ女性の認知症が多いのか、一般的な説明を見ると男性の平均余命が短いからという点と、女性の場合、閉経後に女性ホルモンの低下がそれを促すというのが一般的な見解のようです。

認知症の研究はまだまだ発展段階なので見解の域を出ないのですが、私が見る男女差は思考プロセスがあるようにも見えるのです。男性は論理思考が強く左脳型、女性は感性や芸術の右脳型。ここになにかキーがあるように感じます。

ある事実に対して「いや、そうじゃない、こうだろう!」と主張するのは男性に多いのですが、女性は比較的プレゼンの内容やプレゼンターの人柄に影響を受けます。その昔、「みのもんた教」なるものがあったし、恵俊彰さんも女性受けしていますね。インプットに対する攻撃型と受動型ともいえるのですが、あくまでも個人的で感性的な意見ですが、自立意識が重要な気がします。

もう一つは運動。私が週3-4回、ハードな運動を続けているのは健康管理の一環ですが、今更マラソンで好タイムを出そうという意欲ではなく、一定レベルの負荷をかけ、好きな音楽聞きながら、汗をかく行為で日々の生活に刺激を与えたいのです。するとメンタルもすっきりするし、走りながらいろいろなことを思い浮かべたり時として無の境地に陥ったりできるのです。

ダンベル運動もするし、フィットネスクラブのグループエクササイズも今年から30年ぶりに再開して様々な人との接点を持ちます。例えばそのクラブで先日、プランク競争(うつぶせの状態で前腕、肘、つま先を床につけて身体を浮かせる腹筋運動)があったのですが、私は2位でした。1位の女性と最後は死闘で私のタイムは計らなかったけれど8分程度だったと思います。これが自信につながるし、それ以上に筋肉から脳に刺激を与えるのです。

そういう意味で私は自己流ながら予防をしています。また、日常と非日常を取り入れることも大事だと思います。私が業務のプロジェクトを次々とやるのは未知の世界への挑戦が圧倒的な刺激となり、緊張感となり、わくわく感になるのです。

日本の方は国内旅行で温泉に入ってうまいものを食うが一つの刺激だと思います。ただ、わたしからすればそれは全部受動的行為なのです。ほとんどがある施設やサービスを受け入れる行為であって自分から何かをするわけではないのです。

そうではなくて例えば自分で料理を作るとか、庭いじりの体験をするといった非日常経験を積み上げることが大事だと思います。映画を見るのも受動的ですが、映画のロケ地を見て映画の内容と比べたり、自分で更なる深堀をする行為が大事だと思います。

また最近はシニアの方もスマホを手放さなくなったわけですが、安全対策としてのスマホ携帯は良いと思いますが、パブロフの犬のように一瞬の合間にスマホを見る癖はやめた方がよいと思います。あれも受動的情報であり、のべつ幕なしに見続ける意味はほとんどないと思います。

そういう意味では今のスマホ世代、つまり30代以下の人たちが70代になる40年後以降は認知症が飛躍的に増えるとみています。残念ながらその頃は私はあの世なので検証することができないのが残念ですが、たぶん、この予想は当たると思います。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年5月12日の記事より転載させていただきました。