国債発行がダメなのではない。バラマキがダメなのだ

国債発行してカネばら撒けば経済が良くなるの馬鹿が多すぎる

まず最初に断っておくと、わたしは国債発行がダメだとはいっていない。いままでも何度か国債発行して○○しようというエントリーを書いている。つまり日本の経済が伸びなくなったのは国債を発行したのはいいが使い道を間違ったからである。その話を丁寧にしたいと思います。

TwitterやThreadsではれいわ新撰組の支持者をはじめとする

国債発行してカネをばら撒けば経済は発展する

という主張があり、一見素人が聞くと正しいように思えるが全くの間違いです。
彼らの主張は

  • 社会保障を切り詰める必要なんてないっ!
  • 人口が激減してるのにさらに国は支出を膨らませて公共事業やれ!
  • 足りないカネはどんどん刷れ!

ざっくりとこういうことだが、これ、単に放漫っていわね?

まず日本の国債の増加とGDPはまったく連動していない。

こちらはあまりにカネ撒け撒け言われた財務省が頭にきて出してきたグラフだ。

いくら国債を発行して国の支出を増やしても全くGDPは伸びていない。このグラフにまた「なんでGDPあたりなのか、伸び率で出すべきだ」と、統計が分からない人がデマ反論をそのまま信じて言ってくるわけだが、対GDP比が統計では当たり前。れいわがよく使う伸び率のグラフこそ詐欺師がよく使う手。もともと1000億円の国債しか発行してない国が5000億発行したら伸び率500%だ。日本が1400兆円も借金があるのに500%も発行増やしたら一瞬で国は破綻する。母数が少ないのと多いのを伸び率で比較するわけ無いだろ。

そもそも日本は世界で一番GDPあたりの借金が多いのです。

それなのに先進国で一番景気が悪い。なぜなのか。答えて簡単です。

使い方が悪いのです!!!

企業に当てはめて考えると分かる

企業で考えると分かる。企業のお金の使い方は2種類ある。

○コストセンター
コスト(費用)を管理するための部門やユニットで、製造部門、管理部門、研究開発部門、サポート部門などが該当。主な目的は、費用を最小限に抑え、効率的に資源を使うことです。収益を直接生み出さないため、業績評価は主にコストの管理や削減に基づいて行われます。

○プロフィットセンター
収益(利益)を管理するための部門やユニットです。営業部門、販売部門、製品部門などが。主な目的は、収益を最大化し、費用を管理して利益を生み出すことです。このため、業績評価は収益や利益の観点から行われます。

トヨタは徹底してコストをカットし、投資に使うことで莫大な利益を得るようになった。どの自動車メーカーも同じ。海外に工場を建てまくっている。

だからこそトヨタは

純利益5兆円を叩き出しているのです

国も企業と同じようにコストセンターとプロフィットセンターがある。

国の公共サービスを提供する部門(義務教育、医療、警察など)はコストセンターとして機能し、税収を管理する財務省や経済活動を促進する経済産業省などはプロフィットセンターになる。いままでの日本の政治家は与党も野党も投資にはまったく興味がなく、完全なコストセンターである社会保障に多額の国債を使ってきた。だから経済が伸びないのである。音喜多君と話していても「政治家は投資感覚がある人が皆無」と言っていた。ましてや二世議員などわかるわけもない。

具体的に国家のプロフィットセンター、つまり投資部門とは

  • 教育レベルを上げる(明治維新の成功)
  • 理系の大学研究費の増額(いまはまともに研究もできない)
  • 新技術の開発(核融合など)
  • IT化、キャッシュレス化
  • 海外から集客できる国家事業(万博、五輪、ワールドカップなど)
  • 必要なインフラ(リニア、羽田の大規模拡充)※使わない空港とか箱ものなどの不要なインフラはコストにしかならん
  • 起業の推進

などであるが、こうした費用はここ20年大きく削られて国の投資が激減しているわけでこれで景気が良くなるわけがない。アメリカは世界一の軍事開発や石油に変わるシュールガスを開発して産油国に復活するなどしてるではないか。反面、日本は原発を10年以上止めてその技術も相当に失われている。

いま必要な政治家は政治のプロでは無く、経営経験のある人材であり、高齢議員はとっとと退いて貰って、投資センスのある若い政治家に日本を任せるのなら国債発行なんぼのもんじゃいなのである。

バラマキや医療は単なるコストだから削る

年金や医療、個人へのバラマキは単なるコストである。個人にカネを撒けばみんなが消費するから景気が良くなる??

コロナの時にひとりあたり10万円、計12兆円も撒いたのですが大半が貯金に回って経済はピクリともよくなりまりませんでした。

国民に金を撒いてそれで景気を良くするというのはひと言で言うと

それ、永遠にやるの????はーん

ってことであり、会社で言うと景気が悪いから借り入れしてそれを社員にボーナスで渡して自社製品を買えといってるようなもんである。ヤバいときのシャープが管理職に強制的に自社製品を買わせたり、私が小さいときにいまの住友金属に勤務していた父親はボーナスの代わりにステンレスの鍋をたくさん貰ってこれを売って金にしろといわれていた。それと全くかわらん。

社会保障もバラマキも消費だけで投資にならん

のである。投資というのは将来何倍にもなって帰ってくるものをいうわけで、国民に10万円撒いたら将来50万円納税してくれるのかということである。
医療も同じで、長生きさせて認知症になっても管に繋いで100歳超えていきさせるのに数千万円の税金を投入して、将来何倍にもなって帰ってくるのか。否である。
医療も年金もバラマキも一時金もみんなコスト。ここに借金して投入しても経済は伸びるわけがない。国債発行するなら将来何倍にもなるものに投資しろ。


アメーバ経営論―ミニ・プロフィットセンターのメカニズムと導入 

古い本ですが・・・・京セラ発展の原動力となったアメーバ経営を代表的手法とする、ミニ・プロフィットセンターの本格的研究。メカニズムや導入のプロセス、効果を明らかにする。
【主な内容】
序章 京セラの発展とアメーバ経営
第1章 アメーバ経営の先行研究
第2章 関連領域の先行研究
第3章 調査方法の概要
第4章 京セラでの調査:アメーバ経営のメカニズムの理解
第5章 アメーバ経営導入企業でのパイロット調査:システックとディスコ
第6章 アメーバ経営導入企業での体系的調査:広島アルミニウム工業
終章 MPC理論の構築に向けて


編集部より:この記事は永江一石氏のブログ「More Access,More Fun!」2024年5月16日の記事より転載させていただきました。