世界の貿易の変化:中国の存在感拡大

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1. 輸出の推移

前回は、輸出物価と輸入物価の比率である交易条件について、国際比較をしてみました。

日本は1980年代後半から緩やかに交易条件が悪化し続けていますが、他の主要先進国では横ばい傾向のようです。

交易条件は貿易する相手国によっても影響を受けると言われています。

OECDのデータベースに相手国ごとの貿易額の変化が公開されていましたので、ご紹介していきたいと思います。

貿易に関しては、次のような記事も是非ご参照ください。

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今回はまず全体像を把握するために、世界全体の貿易額の推移を見てみましょう。参照するデータベースは、OECDのTrade in Value Added(TiVA)です。

輸出額の推移から見てみましょう。

図1 輸出
OECD統計データより

図1は各国の輸出額を合計した推移(ドル換算値)です。

色付きがG7、韓国、BRICsの各国で、それ以外(その他)がグレーとなっています。

1990年代には5兆ドル程度だった輸出総額が、2020年には19兆ドルに拡大しています。

アメリカやドイツの存在感、中国の急成長が良くわかるかと思います。また、主要国だけでなく、世界全体での貿易額も拡大していますね。

日本は2000年代から横ばい傾向のようにも見えます。

図2 輸出 シェア
OECD統計データより

図2が世界全体の輸出額に占める主要国のシェアの推移です。

やはり中国の拡大傾向が大きいですね。1995年に2.3%だったのが、2020年には13.1%に拡大しています。

主要先進国はシェアが低下している国が多く、特に日本は8.4%から4.0%と半減している状況ですね。

ドイツは8.8%から6.9%、アメリカは13.6%から9.9%と減少していますが、それなりの存在感を維持しているようにも見受けられます。

フランスやイギリス、イタリアもシェアを落としていて、1990年代から見るとインドや韓国が拡大している様子もわかります。

2. 輸入の推移

続いて、輸入についても見てみましょう。

図3 輸入
OECD統計データより

図2が世界の輸入額の推移です。

輸出と傾向は同じですし、総額は一致します(誰かの輸出は誰かの輸入のため)。

輸出と異なるのは、アメリカの存在感が輸出以上に大きい事です。

図4 輸入 シェア
OECD統計データより

図4が輸入の各国のシェアです。

2000年ころからアメリカのシェアが低下していますが、依然として2020年で13.2%と高い水準を維持しています。中国は1995年に2.1%から急拡大して11.0%に達しています。

やはり中国の存在感の拡大が著しいですね。

日本は7.4%から4.2%、ドイツは8.7%から5.9%と低下しています。

3. 貿易の変化の特徴

今回はOECDのデータから、世界の貿易額の推移と主要国のシェアの変化についてご紹介しました。

中国やその他地域の拡大が大きく、主要先進国各国のシェアは低下傾向です。

特に日本の輸出は1990年代の半分程度にまで縮小している事がわかりました。

欧州諸国は、それぞれの国での貿易が活発なことが窺えますが、それだけ各国の強みを生かした合理化が進んでいるようにも見受けられます。

一方で日本は、貿易の相対的な存在感が他国以上に低下しているようです。近年円安が進んでいますが、今後貿易がどのように変化していくのか大変興味深いです。

皆さんはどのように考えますか?


編集部より:この記事は株式会社小川製作所 小川製作所ブログ 2024年5月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は「小川製作所ブログ:日本の経済統計と転換点」をご覧ください。