景気減速の実態
6月の定額減税を前に、GDP(1〜3月速報値)がマイナスに転じた。
2024年四半期別で最初の速報値は-0.5%(年率-2.0%)となり、これは岸田政権にとって非常に厳しい数字と言えるだろう。
また、実質賃金も、24ヶ月連続マイナスの状況であり、上場企業を中心にベアの動きはあるものの、中小零細と非正規雇用の一部には、賃上げが行えない企業もある。
ただ、就職支援のマイナビキャリアリサーチによると、労働市場の人手不足も深刻で、新卒の就職率はコロナ以前に回復し、旧民主党政権以前、リーマンショック以前に回復しつつある。
岸田政権は、景気のテコ入れとして、定額減税措置を今年の6月に行うとしている。昨年暮れに打ち出した今回の定額減税政策は、やらないよりはいいという程度で、そもそも減税のやり方が複雑すぎて、企業への負担が増えるばかりだ。つまり、減税で国民にアピールしたかったが、実態は大したことをやってるのではないと見透かされているに過ぎない。
それ以前から、現在するなら遍く国民が対象となる消費税現在の方が良いという考え方も、今回の定額減税が取り沙汰されている時から囁かれていたが、頑固な岸田総理は聞く耳を持たず、定額減税が決定した。
それもこれも、コロナ禍回復後の景気の上向きと税収増により、今年9月の自民党総裁選も含め、岸田政権の維持が可能だと考えた為、岸田政権延命のテコ入れとしての定額減税策だったと言われても仕方ないだろう。
おそらく、内閣では直接給付や消費税減税も議論には上がっただろうが、財務省はガンとして受け入れず、つまり景気浮揚による税収増は見込まない、今の財布の中「だけ」でやりくりするという昔ながらの財務省設置法による考え方に固執した。
元々、財務省脳である岸田総理は、そんな財務省を言いくるめることは出来なかった。強いリーダーシップを発揮したかったのかもしれないが、有権者から見れば、腰折れした形に見えても仕方ない。
今年に入り、日本共産党が画策して問題だ問題だと騒いだ自民党の裏金問題で自民党は支持率を低下させることになった。
元々、政治資金規正法はグレーゾーンの多い法律で、政治家の怪しい金の動きを規制するために生まれた法律であるに関わらず、敢えてザル法にして運用を政治家に委ねたことで、政党交付金を貰っていない日本共産党が、とっくに分かり切っていることを敢えて指摘すると言う古典的手法で、政治資金規正法上の不起債問題を殊更大問題に仕立て上げたことで、自民党の支持率を貶めることに成功した。
ただし、それで日本共産党はじめ他の野党が自民党の支持率を越えて、政権交代の道筋が見えるか?と問われても、それは夢のまた夢だ。実際に政党支持率が急激な変化を見せているとは言えない。
地方の中小企業経営者は、自民党が作り上げた政治と地方経済の結びつきの仕組みを嫌がる人はいない。確かに一時的に地方の公共工事が減少したことは間違いないが、一方で、民間需要や設備投資とその場繋ぎとしての公共工事の必要性は地方ほど感じている。
むしろ、国会で自民党の裏金と称する内容を笑っている人たちはたくさんいるだろうし、政治と地方経済の現実を分かってないと感じているだろう。確かに地方の自民党支持者の中で、お灸を据えるために敢えて自民党支持を言わない人もいるが、それは一時的だと考えられる。
反面、旧民主党が作り出した地方への財政出動を止めた流れに反発したからこそ、第二次安倍政権が誕生した。旧民主党に期待した有権者も多いだろうけど、地方経済の活性化が鍵になると分かってない連中に政権など任せられないと言うのが、本音ではないだろうか?
■
以後、
・支持率回復への道
続きはnoteにて(倉沢良弦の「ニュースの裏側」)。