「心配ごとの9割は起こらない」の論理的理由

黒坂岳央です。

「心配事の9割は起こらないから、不安は要らない」という話がある。本当だろうか?

確かに隕石が降ってきて命を落とす、みたいな極端な問題はめったに起きないが、自分はこの言葉を額面通り受け取るべきではなく、特に意思決定者ほど適度に心配をして想定しておくべきだと考える。

むやみに不安を煽るつもりはないが、意図せぬ不幸を回避するために必要な話をしたい。

maroke/iStock

心配事がめったに起きない理由

世の中、滅多なことは起きない。だが、それは運が良いというより、事前に予防しているからである。

「歯周病は恐ろしい。歯が抜け落ちるだけでなく下手をすると全身疾患やその他の怖い病気のトリガーになり得る」という不安が当たらない理由は、そうした不安を抱える人ほど、知らず知らずの内にしっかり歯磨きをして定期検診を怠らないからだ。「日本は他国からの侵略を受けるかもしれない」という予想がめったに当たらないのは、政府が自衛隊を持ち日米同盟という予防をしているからである。

つまり、心配事がめったに起きないのは先に不安を感じる回路を持っていて、その回路に突き動かされて予防策を打っているからである。逆に一切何も先行きを考えず、何も予防しなければ病気になったり、仕事のトラブルに見舞われたりと様々な不幸が襲いかかっても不思議ではない。

つまり、心配事を抱える人ほどきちんと予防するから、結果的に心配事が起きないという話に過ぎないのだ。

大物ほど不安性

歴史的な大物政治家や偉人の伝記を読むと、意外なほど不安を感じやすく事前に想定しうるあらゆる予防策を打っている事がわかる。これはビジネスマンについても同じことがいえる。

自分は大物などではないが、かなり臆病者である。セミナーをする時は会場の下見に行ったり、担当者と事前に打ち合わせをしている。

後方からスライドが見やすいか?
音声は聞こえるか?
隣の部屋の音がうるさくないか?
トイレの数は十分か?

などかなり事前確認をする。過去に一切の不安なく出たとこ勝負をして後悔する経験を何度もしてきたからである。痛い目を見てからはとにかく想定をする。不安の芽を摘み取る努力を怠らない。結果、当日はトラブル無くスムーズに進行できることが多くなった。

特に起業家や経営者は想定力が求められる立場だ。自分の想定外のことが起きた時のif-thenシナリオまで決めておく。だからトラブルが起きても慌てること無く、システマティックに冷静に対処することが可能なのだ。「不安はどうせ起きない」と舐めてかかると想定外のトラブルで慌てることになる。だから「心配事は起きない」で片付けるべきではないのだ。

 

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