「得意」を活かす人生戦略と、可能性の発見

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ちまたには、セルフマネジメントのプロという方がいます。本もたくさん出版しファンも多く、その道の専門家として認知されています。

しかし、安易なセルフマネジメントはリスクがあり弊害があることを覚えておく必要があります。

五感の魔法:あなたが主人公になる 人生好転の脚本を創る方法」(松谷英子著/ごま書房新社)

好きと得意は違う

「好きなこと」と、「得意なこと」は必ずしも同じではありません。「好き」と「得意(才能)」は別の次元のものだと松谷さんは言います。

「たとえば、医療分野には、頭が良くても手先が不器用な人がいます。どんなに練習しても、手技が上達しない人がいるのです。そのような人は、自分に向いていないことに時間を費やすのではなく、自分の得意な分野で貢献することが求められます」(松谷さん)

「もちろん、どんなことでも一定の努力や鍛錬は必要ですが、『人生脚本』はあなただけのオリジナルです。あなたの特性を最大限に引き出すものであるべきです。良い結果が見込めない分野に執着するのは時間の無駄遣いです」(同)

ここで著名人の事例を紹介してみましょう。松谷さんは次のように続けます。

「ips細胞の生みの親である山中伸弥先生は、2012年に『成熟細胞が初期化され、多能性をもつことの発見』により、ノーベル生理学・医学賞をジョン・ガードンと共同受賞しました。そんな山中先生も実は『じゃまなか』と揶揄されるほどに手先が不器用だったため、研究の道を選んだひとりです」(松谷さん)

つまり、あなた自身が得意なことに気づいて引き出さなければならないのです。人生において、もっとも悲しむべきことは、自分の可能性を見限ってしまうことです。自分の可能性は未知数だ、と信じるように行動していきましょう。

マーケの視点で問題を考える

最近、ビジネス書が売れなくなったと聞きます。ビジネスにとって重要なのは、情報の鮮度ですが、あらゆる情報が手に入りやすくなりました。雑な作りの本が多く、読み慣れてくると中身の薄さにびっくりすることもあります。今回のテーマである「得意」を棚卸しできていないのです。

知人に不動産会社の社長がいます。いままで10冊ほど出版していますが、不動産の本には飽きてしまったようで、最近は自己啓発書の本を出しています。ところが、読者の評価はイマイチでなかなか売れません。

いまの不動産事業を成功させるにあたって、自己啓発書の教えが役に立ったなどのエピソードをまとめたり、連関性を訴えれば説得力もありますが整理されてはいません。読者が違和感を覚えてしまい結果がついていないのだと考えました。

自分の得意を見つけるためには、自分の興味や情熱が何であるかを考え、それについて深く掘り下げる自己分析が必須です。志向タイプをはっきりさせて、自分の強みや弱みを明確にしながら、自分自身の軸や志向を発見するのです。

初めての人には新鮮に映るでしょう。しかし、自己分析で見つけた強みは誇大妄想になりかねません。誰もが実績として認めるようなものでない限り、他者と一線を画するほどのオリジナリティーにあふれていることはないからです。

今回紹介した本は、自分の強み弱みを把握したい人、得意を見つけたい人に読んでもらいたい一冊です。新たな気づきがあると確信しています。

尾藤 克之(コラムニスト・著述家)

2年振りに22冊目の本を出版しました。

読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)