上司やクライアントにクオリティ・完成度が低い仕事を見せるのは失礼。そう考える人も多いだろう。しかし実は、むしろ完成度が低い段階で見せたほうが満足度は高まり、仕事も早く終わる。
そう語るのは現役会社員・時短コンサルタントの滝川徹氏。今回は、滝川氏の著書『細分化して片付ける30分仕事術(パンローリング) 』より、早い段階で仕事を提出するメリットについて、再構成してお届けします。
依頼者から早くフィードバックを得る
仕事を効率よく終わらせる極意がある。それは、とにかく早く依頼者からフィードバックを得ることだ。
たとえば上司やクライアントから新たな案件を依頼されたとする。このとき大切なことは仕事の完成度が低い段階で、一度上司やクライアントから意見(フィードバック)を得ることだ。完成度が「高い段階」じゃない。「低い段階」だ。
早い段階で完成時のイメージをすり合わせておくこと。「とりあえずザッと作ってみました。方向性が間違っていないか、確認いただけますか?」と伝えて、上司やクライアントの意向を確認しよう。
この段階で「ここはもっとこうしてほしい」といった意見をもらってから、本格的に手をつけるようにするのだ。そうすると仕事の「答え」を先にもらえるわけだから、当たり前だが遠回りをせずに仕事を仕上げることができる。
多くのビジネスパーソンがこの逆で仕事を進めてしまっている。私自身も昔そうだったが、上司やクライアントから「もっときちんと考えてこい」と言われるのを避けたいあまりにきっちり仕上げてから提出してしまうのだ。
しかしこうした仕事のやり方は乱暴に言うと「運まかせ」だ。運良く「一発OK」がもらえたら結果オーライ。しかし大抵の場合は運が良くてもそれなりの修正が入ることになるだろう。もし運が悪ければ、最悪ちゃぶ台返しを食らう。ゼロから仕切り直しとなる。
いずれにせよ依頼者の意向と君の仕事の方向性がズレていればいるほど修正は大変な作業になる。仕事の締め切りに余裕があればまだいい。しかしギリギリでやり直しを食らったら、もはや目も当てられない事態となってしまう。
仕事の「答え」を先に聞く
プレゼンの資料作成なら、まずはワードなどを使って箇条書きで構成をザッと組み「こんなイメージでスライドを作るつもりですが、内容や方向性に相違はないですか?」と意向を確認する。そこで上司やクライアントからのフィードバックをふまえて、パワーポイントの資料作りをはじめていけばよい。
それぞれの仕事には「答え」がある。そしてそれは、君の上司やクライアントが握っている。それならば、早い段階でその「答え」を教えてもらえばいい。相手にとっても答えを早い段階できちんと理解してもらったほうが安心できるはずだ。
言うまでもなく仕事の価値は君が決めるものではなく、上司やクライアントが決めるものだ。君がどんなに「この仕事には価値がある!」と気合いを入れて取り組んだとしても、相手が求めている主旨とズレていたら「価値がない」ということになる(これが仕事のつらいところだ)。
仕事の「答え」を先に聞いてしまおう。答えさえもらってしまえば、最短ルートで仕事を仕上げることができる。そのためにはとにかく早くフィードバックを得ること。肝に銘じてほしい。
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滝川 徹(タスク管理の専門家)
1982年東京生まれ。慶應義塾大学卒業後、内資トップの大手金融機関に勤務。長時間労働に悩んだことをきっかけに独学でタスク管理を習得。2014年に自身が所属する組織の残業を削減した取り組みが全国で表彰される。2016年には「残業ゼロ」の働き方を達成。その体験を出版した『気持ちが楽になる働き方 33歳大企業サラリーマン、長時間労働をやめる。』(金風舎)はAmazon1位2部門を獲得。2018年に順天堂大学で講演を行うなど、現在は講演やセミナー活動を中心に個人事業主としても活動している。
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編集部より:この記事は「シェアーズカフェ・オンライン」2024年5月20日のエントリーより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はシェアーズカフェ・オンラインをご覧ください。